|本の詳細
UNACCOUNTABLE 沈黙する医師たち―「病院が決して言わないこと」「透明性が医療を変える」
米国医療界の「沈黙の掟」を破り、タビーに挑戦‼
New York Times紙でベストセラー入り、各紙で絶賛‼
門田 守人 氏(日本医学会/日本医学会連合会 会長)推薦‼
「患者と医師とは対立している時代ではなく、パートナーシップを組み直さなければならない。」
マーティ・マカリー 著
吉田 啓 訳
A5判・352頁(H194×W137×22 470g)上製
◆定価:本体価格 2,600円+税
◆ISBN978-4-909090-77-5 C0047
◆2022年7月28日発売
◆有吉 一男
◎著者プロフィール
著者であるマーティ・マカリー(医学博士、公衆衛生学修士)はジョンズ・ホプキンズ病院の外科医であるとともに、ジョンズ・ホプキンズ公衆衛生大学院健康政策学の准教授です。
マカリ博士は病院のパフォーマンスを測定するための世界保健機関(WHO)による取り組みを主導するとともに、外科手術のチェックリストの利用に関する研究を最初に発表しました。後にアトゥール・ガワンデ博士と共に、ガワンデの著書『チェックリスト・マニフェスト』にも記載されているWHOの公式チェックリストを作成しました。
マカリ博士の研究はニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌や他の多くの医学雑誌に掲載されています。米国保健社会福祉省の医療研究品質局からの研究助成金を受け、医療における患者のエンパワーメントの主題について幅広く執筆しています。アメリカ外科学会で指導的役割を果たし、世界中の多くのメディカル・スクールで使用されている外科に関する教科書の著者でもあります。2007年には消化器外科のマークラビッチ・チェアに最年少で指名されました。この役職に3年間従事した後、ジョンズ・ホプキンズにおける手術の質と安全性の責任者として現在の役職に任命されました。がん手術を専門とし、ジョンズ・ホプキンズ膵臓移植センターのディレクターを務めています。
マカリ博士は、バックネル大学、トーマス・ジェファーソン大学、ハーバード大学で学位を取得しています。ジョージタウン大学で外科トレーニングを、ジョンズ・ホプキンズ大学でサブ・スペシャリティ・トレーニングを修了しています。(「著者について」(本文より)」
◎訳者プロフィール
吉田 啓(よしだ はじめ)
野村證券で東京とニューヨークとを拠点としてデリバティブ商品の開発およびトレーディングなどに従事した後、医療機関を対象としたファイナンスとM&Aなどの業務を開拓。その後設立された野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー株式会社で初代社長に就任。現在は同社のシニアアドバイザー。
一橋大学社会学部、早稲田大学理工学部卒業。
◎内容
この本は翻訳をする価値がある。本書を読んだ時、すぐにそう思いました。
手術の質向上など医療の品質改善運動について、一般の国民に治療成績などの情報を公開し、市場の力を利用して全体の底上げを図ろうという本書で示された発想はとても新鮮でした。考えてみれば一般の商品、例えば、自動車でもスマホなど電気製品でも、製品スペックはメーカーから細かに情報公開され、価格情報とともに消費者が製品を選択する際の参考にします。
本書では、医療品質を計測し、公開する取り組みや、そうした運動のキッカケとなった医療過誤についても、具体的な実例をあげて分かりやすく語られています。病気になって治療を受ける時、どのような医療施設で受けるのが良いか、本書に書かれていることには説得力があります。
著者が前書きに書いていますが、こういう本を書くつもりだと友人たちに伝えたところ、ほぼ全員から「医師仲間から恨まれる」という理由で反対されたそうです。だから、本書にかかれたような内容は、著者によっては「負け犬の遠吠え」だと言われてお終いでしょう。しかし本書の著者は研究者であるとともにジョンズ・ホプキンズ大学病院で膵臓移植部門のディレクターを務めるなど第一線で活躍している外科医であり、WHOの委員として「手術安全チェックリスト」を作成した立役者の一人でもあるそうです。このことも、本書は翻訳する価値があると思った理由のひとつです。
◎主要目次
推薦
訳者序文
前書き
■第1部 さまざまな医者
〇第1章 ホダッド先生と肉食恐竜
知っていることによるジレンマ
採用前の一呼吸
品質指標としてのチームワーク
〇第2章 危険地帯
2つのポリープの物語
どうやって評価する?
新たなニーズ
信念を貫く
〇第3章 ニューヨーク州の実験
透明性のある医療
ニューヨーク州で継続する効果
内部調査
経営陣の認識
ウォルター・リード
体制の変化を創り出す
〇第4章 スーパー外科医と王様
〇第5章 「私が好きなやり方」
グレッチェンとロナルド
医療におけるエデンの園
フレッド フリントストーン ケア
町に保安官がいない
〇第6章 現行制度の中で上手にやる
医者を選ぶ
・手術など手技を主として行う医師(Proceduralists)
・診断医(Diagnosticians)
肝心なこと
統計データを強く求める
〇第7章 アウトカムが持つ力を活用する
2つの調査、1つのパターン
■第2部 ワイルド・ウェスト
〇第8章 障害のある医師
州の医療委員会
震える医師
学生時代からの問題児
〇第9章 医療ミス
口封じ
マウント・サイナイ病院
私が犯した医療ミス
〇第10章 寄付する前に聞きましょう
小児病院
小銭を集める
大企業化
〇第11章 食べる物は自分で捕まえてこい
脊椎手術の適用範囲
刷り込まれた条件反射:何かをせずには居られないカルチャー
人は金槌になると…
医師がセールスマン
ルセンティス
豚の丸焼きパーティー友達
心臓カテーテル
専門家は知っている
〇第12章 オールアメリカンロボット
■第3部 透明性の時代
〇第13章 文化の推進力
メイヨー・クリニック
文化
私が起こしたニアミス
声を上げる文化
第14章 Healthonomics
オープンノート
家族を中心においたケア
ハイタッチ
シェアード・ディシジョン・メイキング:医療の新しいモデル
〇第15章 隠しカメラ
品質を担保するためのカメラ
〇第16章 誠実な医療を求める新しい世代
投てき器
驚くべき議論の広がり
〇第17章 説明責任を巡る現状について
様々な危険要素
内部からの運動
どのような変化が生まれているか:オンライン・ダッシュボード
1.バウンスバック
2.合併症の発症率
3.ネバー・イベント
4.安全文化スコア
5.病院の症例数
6.透明性のある記録、オープンノート、ビデオ録画
新たに革新を主導する人々
結び
謝辞
注
著者について
索引
訳者略歴
◎奥付情報
印刷・製本 モリモト印刷株式会社
初版発行 2022年8月10日