専門家のための 中小PMI実践ガイドブック

|本の詳細

専門家のための 中小PMI実践ガイドブック

顧客企業に信頼されるための一冊!!
M&Aの統合プロセスを成功に導く
プロが装備すべきスキルとは・・
事業承継支援コンサルティング研究会
A5判・272頁(H210×W148×15 410g)並製 
◆定価:本体価格 2,800円+税
◆ISBN978-4-911064-04-7 C2034
◆2024年3月8日発売
◆デザイン:有吉一男

【著者紹介】
〇井上 博行(いのうえ ひろゆき)
中小企業診断士、M&A 支援機関登録
大学卒業後、住宅資材販売会社にて法人営業に従事。顧客企業の経営者と向き合いながら、会社員ではない独立した立場からの中小企業支援の必要性を感じ、2022年に中小企業診断士資格を取得。主に工務店、建築材料等卸売業への販路開拓、事業承継、M&A、PMI、カーボンニュートラルに向けた脱炭素経営の支援を行っている。
執筆担当:第2章Ⅰ~Ⅱ
〇合田 潤(ごうだ じゅん)
ごうだ国際会計事務所代表、JG コンサルディング合同会社代表社員、中小企業診断士、公認会計士、税理士、認定経営革新等支援機関
大手監査法人で、法定監査、IPO 支援、内部統制構築支援、不正監査、財務デューデリジェンス等に従事。2016~2019年インド・チェンナイに駐在。現在、「Japan heart, Global mind」で、事業承継・再編、M&A の支援、外資企業の支援等を行っている。
執筆担当:第5章Ⅰ―3、第5章Ⅳ~Ⅴ
〇塩沢 秀人(しおざわ ひでと)
中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、不動産コンサルティングマスター、再開発プランナー
かつては総合建設会社にて関連事業・経営企画・不動産開発の各部門、民鉄会社にて再開発の事務局などに勤務。現在は起業スクール講師や自治体の経営相談員に就き、新規事業・起業、経営戦略、営業・販売計画、資金計画、不動産開発、まちづくりなどで、小売店・飲食店・各種サービス業・製造業・建設業などの小規模事業者に伴走。事業承継やPMI の領域では、不動産の活用・承継、後継者による新分野展開の計画・投資採算評価に注力。著書には、著者名いずれも「信田秀哉」にて、「新規事業開発成功への80STEP」(共著)、「テキスト商品知識(U-CAN)」、「電車でおぼえる中小企業診断士・店舗施設管理」、「マスタープロジェクト・新規事業開発」など。
執筆担当:第1章、第5章Ⅰ―1~2、第5章Ⅱ
〇清水 一郎(しみず いちろう)
中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、清水パートナーシップコンサルティング㈱代表取締役
大学卒業後、大手機械製造業にて経営企画、資材調達、生産管理に従事。退職後、製造業、卸売業を中心に幅広い事業分野を対象に中小企業支援に取り組んでいる。支援分野は事業承継、経営改善、資金繰り改善、経営戦略策定、事業再構築と幅広い。管理会計を基にした事業の選択と集中やVE 技法を活かした合理的なコストダウンの分野でも事業支援を行っている。中小企業及び経営者に寄り添うパートナー型の経営支援を信条としている。今後は事業承継や産業活性化の観点で重要性が増す中小M&A を成功させるPMI の分野での支援に力を注いでいく。
執筆担当:第3章Ⅰ~Ⅵ、第4章Ⅳ、第5章Ⅲ
〇髙岸 浩文(たかぎし ひろふみ)
株式会社TK 経営総合研究所代表取締役、中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、M&A 支援機関
大学卒業後大手電器メーカーの自動車機器部門にて営業、営業企画、マーケティング、新規事業、事業統合等に従事。独立後、“ビジョナリー軍師Ⓡ”として、事業承継、後継者・幹部育成、販路開拓、組織人事、事業再生、経営改善、事業再構築など1,200回以上の中小企業訪問支援活動、伴走支援を行っている。今後は、中小M&A を成功に導くPMI 支援活動にも注力していく。
執筆担当:第4章Ⅰ~Ⅲ
〇徳弘 英生(とくひろ ひでお)
学生時代にIT 起業、約5年で事業譲渡した後、複数の中小ベンチャーに勤務。東証一部の大企業では新規出店から統廃合、事業清算の現場リーダーを、国の独立行政法人では事業仕分け後の整理実行を担当。2016年に経営コンサルタントとして独立開業、おもに中小企業の経営改善や事業再生、M&A を含めた事業承継の支援を行っている。
本書執筆担当:第2章Ⅲ~Ⅵ―2
〇豊泉 光男(とよいず みみつお)
MBA/MOT、早稲田リバイタルパートナーズ代表
大学卒業後、外資系大手フードビジネス企業に勤務、店舗経営、広報等マーケティングに携わる。その後、父の病床のため、家業を継ぐ、建て直しのために一倉定先生「全員参加の経営計画」、経営士会に学ぶ。この間、新事業開発、販売革新、生産革新、海外事業展開が効をそうし、増収・増益基調が定着し、事業規模は10倍以上となった。2002年から早稲田大学大学院でMBA/MOT を修了し、経営コンサルティングの道を志す。2007年より現在まで16年間、荒川区経営支援課で区内モノづくり企業120社の経営支援(事業継承・新商品開発・経営改善・後継者育成)を行いそれぞれ多くの実績を残し、区長より感謝状拝受。著作「事業承継と後継者に関する調査及び考察」(日本フォームスチレン工業組合青年部編 1994年)、「生きた技術経営MOT」(共書日科技連2004年)、「経営塾」寄稿 信用金庫 (2012年6月号)。
執筆担当:第2章Ⅵ―3~4
〇矢吹 卓也(やぶき たくや)
株式会社アステクト取締役、中小企業診断士、キャッシュフローコーチ
保険代理店の役員として自らも経営の統合を経験しており、2023年3月現在も自身の会社にてPMI を実行中。25年間、一貫して保険の営業にたずさわりながら小企業の支援を行っている。2020年に中小企業診断士を取得後は、相続・事業承継を見据えた事業の磨き上げ、補助金支援、経営改善などにともなう伴走支援に従事している。
執筆担当:第3章Ⅶ~Ⅷ
【監修】
岸田 康雄(きしだ やすお)
公認会計士、税理士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、中小企業診断士、宅地建物取引士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認
定)、行政書士
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人(PwC)にて事業会社、都市銀行、投資信託等の会計監査および財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ 銀行ウェルスマネジメント営業部、みずほ証券グローバル投資銀行部門、日興コーディアル証券企業情報部、メリルリンチ日本証券プリンシパル投資部門、税理士法人に在籍し、個人の相続対策から大企業のM&A まで幅広い資産承継と事業承継をアドバイスした。現在、相続税申告を中心とする税理士業務、中小企業に対する事業承継コンサルティング業務を行っている。日本公認会計士協会中小企業施策調査会「事業承継支援専門部会」委員。平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン」委員、東京都中小企業診断士協会中央支部「事業承継支援研究会」代表幹事。著書には、「富裕層のための相続税対策と資産運用」、「中小企業の両利きの経営」、「事業承継ガイドライン完全解説」、「専門家のための事業承継入門」、「プライベート・バンキングの基本技術」、「プライベートバンカー試験受験対策問題集」、「信託&一般社団法人を活用した相続対策ガイド」、「資産タイプ別相続生前対策パーフェクトガイド」、「事業承継・相続における生命保険活用ガイド」、「税理士・会計事務所のためのM&Aアドバイザリーガイド」、「証券投資信託の開示実務」などがある。
〇村上 章(むらかみ あきら)
事業承継コンサルティング株式会社代表取締役、一般社団法人台東区中小企業診断士会会長、中小企業診断士・行政書士
名古屋大学工学部を経て、全国展開の店舗小売業フランチャイズチェーンにて20年間従事。システム開発部門、スーパーバイザー部門、経営企画部門を担当、執行役員を務める。1999年中小企業診断士資格を取得後、20007年にプロコンサルタントとして独立。その後、2015年行政書士資格を取得後、事業承継の専門家として、全国8000店舗のPanasonic 街の電器屋さんをはじめ、数多くの事業主を支援中。2021年より中小企業庁の中小PMI ガイドライン策定小委員会委員を務める。
【執筆協力】
皿谷 将(さらや しょう)
弁護士(東京弁護士会所属)
2013年12月、センチュリー法律事務所に入所。2019年9月から2022年3月まで、経済産業省中小企業庁事業環境部財務課課長補佐(経営承継)として、中小PMIガイドラインをはじめ、中小企業のための事業承継・M&A 支援策の立案等に従事。同事務所復帰後、2023年10月、M&A プラットフォーマーである株式会社バトンズに執行役員として参画。

【内容】
以前はM&A に抵抗を感じる事業者も多かったと思うが、これが近年ではだいぶやわらいでおり、中小企業の世界でもM&A が受け入れられるようになってきた。中小企業にとってM&A には2つの側面がある。後継者不足に悩む企業にとっては、第三者が自社を買収してくれることによって事業を存続させることができるという意味がある。技術を次世代につなぐとともに、雇用を守り、お客様にも迷惑をかけずに済む。一方、成長指向の強い企業にとっては、時間をかけて新規事業に取り組むよりは、他社を買収することによって失敗するリスクを軽減しつつ時間を買うことができる。つまり、M&A は廃業から生ずる経済的損失を回避できるという点で社会的に意義のある取り組みであり、個々の中小企業の成長戦略にとって有効な手段なのである。
しかし、中小企業でM&A が期待通りの結果につながっていない場合が多いといわれる。その原因は様々であろうが、M&A 後の統合作業、いわゆるPMI が十分に行われていないことが1つの要因になっている。M&A 自体が目的になっていたり、M&A で実現させたい自社の姿が明確でなかったりする場合がある。また、M&A の目的は明確なのだが、買収後の経営にどう取り組めば良いのかが分からないケースもあるだろう。そもそも他社を買収して適切に経営していくのは難易度の高い作業なのである。
これを中小企業を支援する立場から見てみると、M&A 自体には仲介業者やアドバイザーなどの支援者がいるものの、M&A 後の経営であるPMIに対応できる支援者は多いとはいえない。
そんな中、2022年3月に中小企業庁から「中小PMI ガイドライン」が発行された。M&A を成功させるためにはPMI が重要であるという点に着目し、譲受側の企業が取り組むべき課題を整理したものである。
私たち事業承継支援コンサルティング研究会は、従来から、親族内承継、第三者承継など事業承継全般について研究を行ってきた。M&A およびPMI の重要性が社会において高まる中、士業やコンサルタント等の支援者が支援活動を進める際に役立つ情報を提供することが必要とされている。そこで、支援者を対象とした参考資料として本ガイドブックを制作した。もちろん、M&A を考えている中小企業の経営者や経営幹部の方にも役立つ内容を目指した。本書が支援者や中小企業の経営者に少しでも役立ってくれれば幸いである。

【主要目次】
◆第1章 M&A とPMI の概要
Ⅰ M&A の増加で重視されるPMI
【1】中小企業へのM&A の浸透
【2】PMI の概念
【3】M&A やPMI に関する中小企業施策
Ⅱ 中小M&A の形態とPMI
【1】M&A の類型の整理
【2】M&A 形態とPMI
Ⅲ M&A プロセスとPMI プロセス
【1】M&A におけるPMI の位置づけ
【2】PMI のSTEP1(PMI の準備に着手する段階)
【3】PMI のSTEP2(PMI の準備を本格化する段階)
【4】PMI のSTEP3(PMI を集中的に実行・推進する段階)
【5】PMI のSTEP4(PMI が一段落して以降の段階)
◆第2章 中小PMI の進め方
Ⅰ M&A を成功させる初期検討
【1】企業価値を高める手段としてのM&A
【2】自社の成長ストーリーを明確にする
【3】現状認識ローカルベンチマークの活用
【4】M&A で何をどう実現するのか
Ⅱ ビジネスデューデリジェンス
【1】プレPMI M&A 成立前のPMI への準備
【2】ビジネスDD で何を見る?
【3】PMI に向けた優先順位事項の選定
Ⅲ PMI の推進体制
【1】統合プロジェクトマネージャーは誰か?
【2】PMI 推進チームなど組めない場合どうするか?
【3】人材発掘とリテンション(慰留)の進め方
【4】なぜ「100日」なのか
Ⅳ PMI の実行者に必要なスキル、ノウハウ
【1】プロジェクトマネジメント
【2】優先順位の決め方
【3】PMI の現場で使える心理学
Ⅴ PMI のスケジュール、段階ごとの実施内容
【1】Day0からDay1までの約1か月でやること
【2】PMI 集中実施期①最初の100日
【3】中に入って初めて分かる現状とクイック・ヒット
【4】PMI 集中実施期②残りの265日
Ⅵ 成長シナリオを描くためのプロセス
【1】有効なシナジーの模索、組織・要員のアップデート
【2】会社の成長シナリオを個人レベルにブレイクダウンして示す
【3】PMI を通じた信頼関係の構築
【4】企業文化の統合(融合)
◆第3章 経営の統合
Ⅰ 経営の統合とは
Ⅱ 経営の方向性をどうやって統合するか
【1】経営の方向性とは何か
【2】中小企業における経営理念
【3】経営理念・ビジョンの浸透が重要
【4】経営戦略・経営目標・事業計画の策定
【5】PMI における経営の方向性の統合プロセス
Ⅲ 知的資産と人的資産の統合
【1】知的資産の重要性
【2】承継対象となる知的資産
【3】知的資産統合のプロセス
【4】譲渡側の知的資産の把握
【5】譲渡側の強みが属している人材の活用
【6】譲渡側の知的資産の定着
【7】譲受側の知的資産も見える化して知的資産を統合する
【8】人的資産の統合
Ⅳ 経営体制の確立
【1】ガバナンス構築の意義
【2】意思決定と権限委譲
【3】人事
【4】業績評価
V 組織
【1】組織設計の要素
【2】組織形態の種類
【3】合併など一体化する場合の組織設計
【4】マトリックス組織の活用・・CFT(クロスファンクショナルチーム)
Ⅵ 財務の統合
【1】財務の統合の意義
【2】事業別資金の配分
【3】統合資金計画
【4】資金調達の統合
Ⅶ 戦略策定と推進体制
【1】経営理念、経営戦略の策定
【2】PMI 推進機能と組織編制、メンバーの選定
Ⅷ 統合作業の実践
【1】現状分析
【2】経営目標と利益計画の策定
【3】施策と行動計画の策定
【4】経営管理サイクル
◆第4章 事業機能の統合
Ⅰ 業務統合の2つの側面
Ⅱ 事業機能統合のステップとゴール
【1】事業機能統合のステップ
【2】事業機能統合のゴール
【3】事業機能統合におけるシナジー効果
Ⅲ 売上シナジー
【1】経営資源の相互活用による売上シナジー
【2】経営資源の組み合わせによる売上シナジー
Ⅳ コストシナジー
【1】売上原価シナジー
【2】調達シナジー
【3】生産シナジー
【4】販管費シナジー
◆第5章 管理機能の統合
Ⅰ 管理機能統合のポイント
【1】管理機能の全体最適の追求
【2】組織の編成や体制の確認
【3】統合作業の実践
Ⅱ 総務・法務機能の統合
【1】総務・法務の統合作業の特性と主な項目
【2】事業活動に必要な免許や許可など
【3】商事法務
【4】取引法務
【5】譲受側が個人の場合(法人との比較)
【6】知的財産権の取り扱い
【7】総務・法務分野のその他のPMI 業務
Ⅲ 人事・労務の統合
【1】人事・労務統合の意義
【2】人事・労務制度の統合の注意点
【3】譲渡側の法令違反
【4】人事・労務の統合
【5】従業員説明の重要性
【6】人件費の計画
Ⅳ 経理・財務の統合
【1】経理・財務統合の意義
【2】経理・財務の統合の注意点
Ⅴ IT システムの統合
【1】IT システム統合の意義
【2】IT システム統合の手順
【3】IT システムの統合の注意点
参考文献

◎奥付情報
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行 2024年3月31日