詳解 有利発行課税

|本の詳細

詳解 有利発行課税

類書なし‼
法人税・所得税・贈与税の視点で、有利発行課税の理論と計算を体系的に解説。
関係法令から裁判例までフォローした実務家必携。

A5判・256頁(H210×W148 15ミリ 390g)並製 
◆定価:3,080円(税込)
◆ISBN978-4-909090-56-0 C2034
◆2021年4月16日発売
◆Cover 有吉 一男

◎監修者
稲見 誠一(いなみ せいいち)
デロイト トーマツ税理士法人 タックス コントラバーシーチーム シニアアドバイザー税理士
サンワ東京丸の内事務所(現 有限責任監査法人トーマツ)に入社後、勝島敏明税理士事務所(現 デロイト トーマツ税理士法人)に転籍し、パートナーとして、事業承継部門長、テクニカルセンター長、審理室長、東京事務所長、副理事長を歴任。2016年12月1日よりテクニカルセンター(現 タックス コントラバーシーチーム)のシニアアドバイザーとして、税務訴訟研究を通じて教育研修業務に従事している。また、外部委員として、東京都債権処理審査会委員、事業再生研究機構・税務問題委員会副委員長に就任している。
主な著書に、『詳解 グループ通算制度Q & A』(清文社・共著)、『Q & A 事業承継をめぐる非上場株式の評価と相続税対策』(清文社・共著)、『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(清文社・共著)、『詳解 連結納税Q & A』(清文社・共著)、『組織再編における株主課税の実務Q & A』(中央経済社・共著)、『「純資産の部」の会計と税務』(清文社・共著)、『私的整理ガイドラインの実務』(金融財政事情研究会・共著)、『ケース別にわかる企業再生の税務』(中央経済社・共著)、『実務詳解 組織再編・資本取引の税務Q& A』(中央経済社・共著)、『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編の税務詳解』(清文社・共著)がある。

《著者》
梅本 淳久(うめもと あつひさ)
デロイト トーマツ税理士法人 タックス コントラバーシーチーム マネジャー
公認会計士・米国公認会計士・司法書士試験合格
税理士法人トーマツ(現 デロイト トーマツ税理士法人)に入社後、税務申告業務、国際税務コンサルティング業務を経験し、現在は、審査請求・相談・教育研修などの業務に従事している。民間専門家として、国税審判官(特定任期付職員)に登用され、審査請求事件の調査・審理を行った経験を有する。
著書に『[処分取消事例]にみる 重加算税の法令解釈と事実認定』、『【法律・政省令並記】逐条解説 外国子会社合算税制』、『【法律・政省令並記】逐条解説 過大支払利子税制』、『事例と条文で読み解く 税務のための 民法講義』(以上、ロギカ書房)、『詳解 タックス・ヘイブン対策税制』(清文社・共著)、『国際課税・係争のリスク管理と解決策』(中央経済社・共著)、『第10版 Q & A 事業承継をめぐる非上場株式の評価と相続対策』(清文社・共著)、税務専門誌への寄稿記事に「通達・Q & A の要点を一挙に押さえる 令和元年度 外国子会社合算税制の改正詳解」税務弘報67巻10号(中央経済社)、「外国法を準拠法とする契約に係る税務上の取扱い[ 1 ]~[ 3 ]」月刊国際税務38巻12号~39巻2号(国際税務研究会)、「疑問相談 国税通則法 国税不服審判所の審査体制と裁決事例の先例性」国税速報第6555号(大蔵財務協会)などがある。

デロイト トーマツ税理士法人
デロイト トーマツ税理士法人は、日本で最大級のビジネスプロフェショナル集団「デロイト トーマツ グループ」の一員であると同時に、世界四大会計事務所「デロイト」の一員でもあります。「トーマツ」ブランドが培ってきた信頼と高い専門性に加え、全世界150を超える国・地域で展開する「デロイト」のグローバルネットワークを生かし、プロフェッショナルとしてクライアントのビジネス発展に貢献していきます。私たちの最大の強みは、デロイト トーマツ グループの総合力です。国内外での豊富な実績を誇る税務サービスだけにとどまらず、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、法務の領域でもグループ内の連携を図り、組織や専門分野の枠を超えた総合的なサービスを提供しています。特にデロイト トーマツ税理士法人は、日本の大手税理士法人の中でも最大級の国内16都市に拠点を設けており、全国規模で多様化するクライアントのニーズにこたえています。_
◎内容
有利発行課税については、一定数の判例の蓄積があり、論考も多数発表されているところです。
これらの論考には、裁判所の結論や理由付けに反対するものも少なくなく、また、判決の理解について、複数の異なる見解が示されており、有利発行課税については、未だ議論の余地が残されているように見受けられます。
ところで、大淵名誉教授が、「法人が行う第三者割当の有利発行増資は、資金調達手段、安定株主対策及び業務提携等、幅広いニーズに利用されている」と指摘されているように、実務では、今なお有利発行増資が利用され、その課税関係を検討する必要が生じています。
前述の通り、有利発行課税については、多数の論考があるものの、これらは、関係法令等を体系的に解説するような趣旨のものではなく、また、学術的な記載や、判例の趣旨とは異なる記載も多く見受けられます。
本書は、条文と判例の趣旨に照らして、有利発行課税の構造を解説する実務テキストです。具体的には、「第1 部 関係法令編」では、有利発行に関係する会社法及び各税法(法人税法、所得税法、相続税法)の規定について逐条解説を行い、「第2 部 事例編」では、著名な裁判例を題材に、具体的事案の検討において生じる理論上又は計算上の問題について、詳細な解説を行いました。また、有利発行課税の問題のより深い理解のために、「参考」と題する囲み記事で、判例評釈や有力な学説を簡潔に付記しました。

◎目次
■第1 部 関係法令編
〇第1 章 株式発行に係る会社法の規定
1  募集事項の決定手続の概要
2  株主割当て
2.1 募集事項等の決定
2.2 募集事項等の決定機関
2.3 募集事項等の通知
2.4 募集株式の申込み
2.5 募集株式の割当て・引受け
3  公開会社における第三者割当て
3.1 募集事項の決定
3.2 募集事項の決定機関
3.3 募集事項の通知・公告
3.4 募集株式の申込み
3.5 募集株式の割当て・引受け
3.6 支配株主の異動を伴う募集株式の発行等
4  非公開会社における第三者割当て
4.1 募集事項の決定
4.2 募集事項の決定機
4.3 募集株式の申込み
4.4 募集株式の割当て・引受け
5  現物出資
6  出資の履行等
6.1 出資の履行
6.2 株主となる時
7  株式発行の瑕疵に対する措置
7.1 募集株式の発行等をやめることの請求
7.2 新株発行等の無効又は不存在の確認の訴え
7.3 募集に係る責任等
7.4 株主による責任追及等の訴え
8  令和元年改正法(参考)
〇第2 章 有利発行に係る法人税法の規定
1  益金の意義
1.1 法人税法22条2 項にいう「取引」の意義
1.2 低額取引における法人税法22条2 項の適用可能性
2  有価証券の取得価
3  有利発行に係る「判定の時価」
3.1 判定基準
3.2 「判定の時価」の算定方法
4  他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合
5  有利発行株式の「計算の時価」
5.1 市場有価証券等の価額
5.2 市場有価証券等以外の株式の価額
5.3 市場有価証券等以外の株式の価額の特例
6  計算例
6.1 第三者に対する有利発行
6.2 株主等の全部に対する有利発行
6.3 株主等の一部に対する有利発行
〇第3 章 有利発行に係る所得税法の規定
1  収入金額の意義
1.1 総則
1.2 株式等を取得する権利に係る収入金額
2  株式等を取得する権利を与えられた場合の所得区分
3  株式等を取得する権利を与えられた場合の所得の収入すべき時期
4  有利発行に係る「判定の時価」
5  株主等として与えられた場合
6  株式等を取得する権利の行使により取得した株式の価額
7  有価証券の取得価額
〇第4 章 有利発行に係る相続税法の規定
1  みなし贈与
2  株式又は出資の価額が増加した場合
3  同族会社の新株の発行
〇補 章 有利発行に係る国際課税関係の規定
■第2 部 事例編
事例1 有利発行と既存株主に対する寄附金課税(東京地判平13・11・9 、東京高判平16・1 ・28、最判平18・1 ・24、東京高判平19・1 ・30)
事例2 有利発行と株式引受人に対する受贈益課税(東京地判平27・9 ・29、東京高判平28・3 ・24)
事例3 有利発行と所得税・贈与税の課税(東京地判平12・7 ・13、東京高判平14・1 ・30、最判平17・11・8 、東京高判平18・12・20)
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●奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2021年5月10日