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裁判例に見る 税理士損害賠償の回避ポイント
高度の注意義務違反、不法行為・・・
いつ、自分が当事者になるかもしれない。
「税理士を守る会」でリーガル・サービスを提供する弁護士で税理士である著者が、税賠裁判例を詳細に分析、回避ポイントを解説します。
谷原 誠 著
A5判・224頁(H210×W148×D12 350g)並製
◆定価:本体価格 2,600円+税
◆ISBN978-4-911064-16-0 2034
◆2025年1月22日発売
◆デザイン:有吉一男
【著者略歴】
谷原 誠(たにはら まこと)
弁護士
平成6年弁護士登録、東京弁護士会所属、東京税理士会所属。みらい総合法律事務所代表パートナー。
「税理士を守る会」主催(2024年10月現在約420税理士事務所が会員)
【著書】
「税務のわかる弁護士が教える 税理士損害賠償請求の防ぎ方」(ぎょうせい)
「税務のわかる弁護士が教える 税務調査における重加算税の回避ポイント」(ぎょうせい)
「税務のわかる弁護士が教える 相続税業務に役立つ民法知識」(ぎょうせい)
「税務のわかる弁護士が教える税務調査に役立つ”整理表” -納税者勝訴判決から導く”七段論法”」(ぎょうせい)
「税理士SOS 税理士を守る会質疑応答集」(ロギカ書房)他、50冊以上。
【研修実績】
東京税理士会、北海道税理士会、東海税理士会、沖縄県税理士会、関東信越税理士共同組合、他多数。
【内容】
税理士は、税務に関する専門家として、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図ることを使命とする専門職であり、納税者から税務申告の代行等を委任されたときは、委任契約に基づく善管注意義務として、委任の趣旨に従い、専門家としての高度の注意をもって委任事務を処理する義務を負うものと解される。
この高度の注意義務に違反し、その結果、依頼者に損害を生じさせた場合には、債務不履行に基づく損害賠償義務を負う。
また、契約関係にあろうとなかろうと、税理士の行為が不法行為の要件を満たす時も、同じく損害賠償義務を負うことになる。
株式会社日税連保険サービスのホームページに掲載されている税理士職業賠償責任保険事故事例(2022年7月1日~2023年6月30日)によると、保険金の支払状況は、2020年は22億5600万円、2021年は17億7000万円、2022年は18億300万円とされている。
著者が代表社員を務める弁護士法人みらい総合法律事務所では、「税理士を守る会」という税理士だけが会員になれるリーガル・サービスを提供しているが、そこでは、日常的に、税理士損害賠償の相談がある。前述の税賠保険の統計や判例集に掲載される税理士損害賠償の裁判例は、氷山の一括であり、実際には、その何倍もの税理士損害賠償請求がされ、訴訟にならずに和解により解決され、または、訴訟上の和解で解決しているのが実情である。
また、税理士から当事務所に寄せられる税理士損害賠償の相談は、税理士になって初めての経験である、ということが多いことも特徴である。つまり、これまで一度も損害賠償請求をされた経験のない税理士であっても、いつ、自分が当事者になるかもしれない、ということである。
その意味でも、税理士は、税理士損害賠償で訴訟に発展した事例にどんなものがあるのか、また、税理士が勝訴、または敗訴した税理士損害賠償の回避ポイントはどこにあるのか、について知っておくことが、自ら税理士損害賠償の当事者にならないための有益な知識となると考える。
そこで、本書では、比較的最近の税理士損害賠償の裁判例をピックアップし、事案、争点、双方の主張、判決を紹介した上で、その訴訟において回避ポイントについて解説を試みるものである。
【目次】
■第1部 税理士損害賠償の基礎知識
■第2部 裁判例解説
○賠償額制限条項の不適用(税理士敗訴)
福岡地裁令和5年6月21日判決(TAINS Z999-0182)
○住宅ローンに係る誤った助言による損害賠償請求(税理士敗訴)
東京地裁令和4年5月16日判決(D1-law.com 29070968)
○誤った助言による過大な相続税の納付(税理士勝訴)
東京地裁令和4年4月19日判決(TAINZ Z999-0180)
○事前通知のない税務調査を拒否した税理士の義務違反(税理士敗訴)
千葉地裁令和3年12月24日判決(TAINS Z999-0179)
○税額算定の誤りによる過大な租税債務負担(税理士敗訴)
東京地裁令和3年11月11日判決(D1-Law.com 29067753)
○経費の架空計上に係る税務上の適切な助言・指導の懈怠(税理士勝訴)
東京地裁令和3年8月4日判決(D1-Law.com 29065956)
○委任契約書の責任制限条項の有効性(税理士敗訴)
横浜地裁令和2年6月11日判決(TAINS Z999-0178)
○横領に関する税理士の報告・是正・指導に係る善管注意義務(税理士一部敗訴)
東京地裁令和2年2月20日判決(TAINS Z999-0181)
○課税の発生に係る助言義務違反の有無(税理士敗訴)
東京地裁令和1年10月15日判決(D1-Law.com 29056239)
○役員退職金に係る助言義務違反の有無(税理士勝訴)
東京地裁平成31年 1月11日判決(ウエストロー・ジャパン 2019WLJPCA01118009)
○遺言に基づかない相続税申告による不必要な相続税納付(税理士敗訴)
東京地裁平成30年2月19日判決(TAINS Z999-0172)
○取引実態と乖離した確定申告に係る損害賠償請求(税理士勝訴)
東京地裁平成27年11月26日判決(D1-Law.com 29015538)
○申告期限の経過による無申告加算税、延滞税等(税理士勝訴)
東京地裁平成27年3月9日判決(D1-Law.com 29024890)
○消費税の課税形態の助言をしなかったことに係る損害(税理士勝訴)
東京地裁平成26年3月26日判決(TAINS Z999-0156)
○相続人の日本国籍喪失を確認せず申告(税理士敗訴)
東京地裁平成26年2月13日判決(TAINS Z999-0145)
◎奥付情報
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行 2025年1月31日