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病院マネジメントの教科書 病院経営28のソリューション = 千葉大学医学部附属病院「ちば医経塾」講義テキスト
医療政策・医療倫理・医療安全・健康経営など、千葉大学病院「ちば医経塾」で学ぶ幅広い知識を集約。
第一線の講師陣のエッセンスを共有し、明日の病院経営に役立てるための
―千葉大学からの挑戦!
A5判・488頁(H210×W148 710g)並製
◆定価:5,500円(税込)
◆ISBN978-4-909090-53-9 C2047
◆2021年2月6日発売
◆Cover Design 有吉 一夫
《編者プロフィール》
井上 貴裕(いのうえ たかひろ)
千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院経営管理学研究センター長・特任教授・ちば医経塾 塾長
東邦大学医学部医学科 客員教授
東京医科歯科大学大学院にて医学博士及び医療政策学修士、上智大学大学院経済学研究科及び明治大学大学院経営学研究科にて経営学修士を修得
東京医科歯科大学医学部附属病院 病院長補佐・特任准教授を経て現職
(主要著書)
『成功する病院経営 戦略とマネジメント』(2017年3月、ロギカ書)
『成功する病院経営 診療報酬の実践対応』(2018年5月、ロギカ書)
『病院経営財務マネジメント』(2019年6月、ロギカ書)
『病院経営戦略 収益確保はこうして実践する』(2020年7月、ロギカ書)
『経営理論に学ぶ病院経営戦略』(2020年9月、ロギカ書)
◎内容
新型コロナウイルス感染症により病院、特に急性期病院の経営が厳しさを増しています。新型コロナウイルス患者を受け入れた病院の多くは急性期病院で、その対応のためにコロナ専用病棟が各地でつくられ、そこにスタッフが配置されています。そもそもコロナ前から急性期病院は赤字基調にあったのに対して、療養病棟や回復期リハビリテーション病棟などは医業利益でプラスという状況に、コロナウイルスが襲来したわけです。国も第二次補正予算で病床確保料など様々な補助金対応をしてくれているわけですが、病院によって受け取る金額の多寡は異なりますし、それで十分というわけにもいかないようです。
そして、スタッフも先の見えない闘いに疲弊してきており、健全な病院運営に支障をきたしています。
そんな中でも「ちば医経塾」はオンラインと会場のハイブリッド方式で開催し、あるべき病院経営を求めて全国から受講生が集まり、皆で意見交換をしながら学んでいます。
企業経営についてはビジネス・スクールなど学ぶ場が多数存在し、組織のマネジメントという意味では共通する点も多くあります。ただ、ちば医経塾では、医療の特殊性を踏まえた構成にしており、病院経営を中心としながらも、医療倫理、医療安全、健康経営など広い範囲を体系的に学び、経営者として視野を拡げる機会を提供しています。また、大学病院だけでなく、公的、民間中小病院などでも役に立つ実践的な内容です。座学の学びに加え、演習を通じて自ら手を動かしデータ分析スキルを身に着け戦略の立案や各種提案ができる人材を育成しています。
さらに受講生や講師とのネットワークを拡げ、同窓会など交流の場も提供していきます。
受講生は20 代前半から60 代後半まで熱意と多様なバックグラウンドを持つ同志が集う場です。北は北海道から南は沖縄まで全国から受講生が集まり、それぞれ異なる医療環境を理解しながら、学びを深めています。職種も多岐にわたり、現役病院長、副病院長等の管理者や若手の医師や経営を担う事務職員、看護管理者、コメディカルスタッフなど医療機関に勤務する多職種がそれぞれの視点から議論を行います。さらに弁護士や市議会議員、製薬会社等の企業に勤務する方も医療をより深く学ぶために参加しています。
本書は第一線で活躍される講師陣のエッセンスの一部を共有し、明日の病院経営に役立ててもらうために講義録をまとめたものです。この学びを活かし、病院経営の司令塔が一人でも多く育ち、持続可能な医療が各地域で展開されることを願っています。
《目次・執筆者》
●第1 章 医療政策と診療報酬の素養
1 .今後の医療・介護の方向―地域包括ケアの構築に向けて
宇都宮 啓(千葉大学医学部 客員教授)
2 .病院経営に役立つ医療政策の動向―「三位一体改革」から考える
吉村 健祐( 千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター センター長/特任教授・千葉県健康福祉部医療整備課)
3 .我が国の救急受入れ事情および重症患者管理ユニットの展望
武居 哲洋(横浜市立みなと赤十字病院 副院長 兼 救命救急センター長)
4 . DPC と重症度、医療・看護必要度分析から考えるこれからの病院経営
箕浦 洋子(関西看護医療大学 看護学部看護学科 教授)
●第2 章 病院経営者に求められる素養
5 .大学病院の向かうところ
山本 修一(千葉大学副学長・前病院長)
6 .人と組織の動かし方―医師が病院経営に関わるための課題
山本 晃( 横浜市立みなと赤十字病院 血液内科部長・病院長補佐・医療情報センター長・経営企画室長)
7 .医療経営学 概論
井上 貴裕(千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院経営管理学センター長)
8 .病院における戦略的な広報とは
鹿野 由利子(千葉大学医学部附属病院 特任教授(広報戦略担当))
9 .病院経営者のための労働法
三谷 和歌子(弁護士 田辺総合法律事務所)
10.医療経済学
亀田 義人(千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学センター 特任教授)
11.医療政策倫理―医療における意思決定
亀田 義人(千葉大学医学部附属病院 病院経営管理学センター 特任教授)
12.レギュラトリーサイエンス概論
宮坂 信之(東京医科歯科大学 名誉教授)
●第3 章 医療安全と感染管理の素養
13.医療安全概論
相馬 孝博(千葉大学医学部附属病院 医療安全管理部 教授)
14.病院経営者に知って欲しい感染制御の基本
猪狩 英俊(千葉大学医学部附属病院 感染制御部長)
●第4 章 働き方改革と健康経営
15.働きよさと働きがいのある職場
三澤 園子( 千葉大学医学部附属病院 職場環境向上委員会・千葉大学大学院医学研究院 脳神経内科学)
16.医療機関の労務管理
渡辺 徹(日本赤十字社 愛知県支部 日赤愛知医療センター(仮称)設立準備室 総務グループ長)
●第5 章 実践に学ぶ病院経営 中核病院の事例
17.医療経営学―病院管理者に求められるもの
堺 常雄(日本病院共済会 代表取締役・日本病院会 名誉会長・元聖隷浜松病院 総長)
18.地方中核病院が主導する地域包括ケアシステムの構築―東京都北多摩南部医療圏における地域完結型脳卒中診療体制の構築の経験
富田 博樹(日本赤十字社 副社長)
19.戦う院長、意識改革なくして改善なし
金岡 祐次(大垣市民病院 院長)
20.チーム医療を病院経営改善に生かす
泉 並木(武蔵野赤十字病院 院長)
21.機能分科の時代の病院マネジメント―PFM の導入と地域包括ケアへの取組
西澤 延宏(佐久総合病院・佐久医療センター 副統括院長)
22.大変だ!!地方中核病院長『奮闘記』―経営の可能性を探った4 年間の記録
後藤 敏和( 山形県立中央病院 名誉院長・公益財団法人やまがた健康推進機構 理事・山形検診センター 所長)
23.放射線部のマネジメント
桝田 喜正(千葉大学医学部附属病院 放射線部 副部長)
●第6 章 実践に学ぶ病院経営 地域包括ケアシステムの構築
24.生き残る病院を目指そう
武久 洋三(医療法人 平成博愛会 博愛記念病院 理事長)
25.最大で最強の地域包括ケア病棟
仲井 培雄(地域包括ケア病棟協会 会長・芳珠会記念病院 理事長)
26.映画「シン・ゴジラ」に学ぶ人口減少時代の病院経営
金田 道弘(社会医療法人 緑壮会 金田病院 理事長)
27.消滅可能性自治体にある中小規模病院の経営改善
藤井 将志(特定医療法人 谷田会 谷田病院 事務部長)
28.医療と介護の戦略的融合―小規模病院が取り組む「地域包括ケアシステム」づくりの実例
稲葉明日香(医療法人社団 友愛会)
●奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2021年2月28日