売掛金完全回収 実務と与信ルール<得意先の日常管理からいざというときの対処法まで>

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売掛金完全回収 実務と与信ルール<得意先の日常管理からいざというときの対処法まで>
 
回収なくして販売なし
いち早く、より多く、費用をかけず、確実に回収するための
実践ノウハウ
 
小野寺 勇史郎 著
A5判・224頁(H210×W148 350 g)並製 
◆本体価格 2,200円+税
◆ISBN978-4-909090-31-7 C2034
◆2019年10月9日発売
◆Cover Design Izumiya
 
◎著者プロフィール
小野寺 勇史郎(おのでら ゆうしろう)
株式会社エキスパートナーズ代表・講師
明治大学商学部商学科卒業後、大正海上火災保険株式会社(現在:三井住友海上火災保険)入社。株式会社日本コンサルタントグループ人材マネジメント研究所の部長・室長コンサルタント歴任。2007年3月株式会社エキスパートナーズ設立し現職。
2018年5月一般社団法人ジャパンコンサルティングネットワーム会長現職。
資格:社団法人全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント、産業カウンセラー、中小企業診断士、宅地建物主任者。税理士試験(5科目)に合格後、当時の会社規程により税理士未登録。
学会:日本産業カウンセリング学会・会員、日本在宅医療学会・会員、組織心理学会・会員
著作:「セールスマン実践テキスト(基本編)」共著(日本コンサルタントグループ、「売掛金完全回収の実務」(日本実業出版)、「イザに備える実践管理マニュアル」共著(日本実業出版)、「売掛金完全回収のルールと習慣作り」(中経出版)、「売掛金管理と完全回収の進め方」(ジャパンプレジデントネットワーク)、「こんな営業マネージャーになりなさい」共著(清文社)「大倒産時代!危ない得意先の見分け方」(中経出版)、「取引先の与信管理 売掛金の完全回収」(すばる舎リンケージ出版)、「営業社員の売掛金管理 与信と評価の実務」全国地方銀行の店頭用冊子(西北社)、「月間企業実務 営業マンのための信用調査の進め方(連載)」(日本実業出版)
現在、金融機関、商工会議所・法人会でのセミナー講師、企業研修で販売管理・財務管理業務知識の講師。医療機関において事務長・医事課スタッフ向けの医療費の未収金回収の実務研修。営業担当者と信用調査の現場指導。受けた仕事は断らないので年間180日を超えるコンサルティング、セミナー、研修、講演等で全国でとびまわっている。
独自のビジネスコーチングの手法および研修教材を開発し、売掛金の完全回収システム商品の開発に努める。一環して中堅中小企業の経営者の立場で、営業担当者の現場で極めて独自の実務的な指導(泥臭い指導)に定評がある。
 
◎内容
 販売なくして企業なしは、昔からのテーマであり、今日は、回収なくして販売なし、からさらに法律なくして完全回収なしの時代です。「企業」ということばは、読んで字のごとく、「業を企てる」ことです。企てとか計画には、挫折・失敗・見込み違いは、つきものです。したがって、企業にはつねに倒産の危険が内在している、といっていいでしょう。主要な得意先が倒産し、売掛債権が焦げつき、受取手形が不渡りになれば、自社もまた倒産の危機に見舞われます。商取引には、危険がいっぱいなのです。このような危険の発生を予防し、万一、危険が発生した場合には、そこから生ずるダメージを最小限に食い止めることを日ごろから心がけておかなければなりません。それが、危険管理(リスク・マネジメント=RISKMANAGEMENT)です。
 危険管理は、いろいろな次元で考えることができます。防衛問題は国家の、雇用保険は社会の、損害保険・生命保険は個人の、それぞれのレベルの危険管理です。それでは、企業レベルの危険管理とは、なんでしょうか。それは、売掛債権の焦げつきや受取手形の不渡りをいかにして予防するか、不幸にして発生してしまった焦げつきや不渡りをいち早く、より多く、費用をかけないで安く確実に回収するにはどうしたらよいか、ということです。万全な危険管理を行うには、法律や経営の知識はもちろん、タイミングのよい的確かつ客観的な判断が必要になります。この時期、経理責任者や営業マネジャーに売掛金を完全に回収するために実務から見直しいただきたいことがあります。自社の与信管理システムのも直しです。例えば、①与信限度額の見直しを図る、②売掛金期間・手形サイトの短縮化を図る、③現金取引の拡大を図る、④資金化の効率を高める、⑤債権の不良化防止策を講じる、などです。
 本書は、このような課題に早期に着手し、実現を図るための手引きとなることを企図して執筆したものです。筆者は、与信管理コンサルタントとして、企業の経営組織管理や営業部門管理の強化に携わっていますが、売掛金管理および回収はどう進めたらよいのか、相談やセミナーの講師をさせていただいています。本書は、代金回収の相談やセミナーで多くとりあげられるテーマや課題に焦点をあてて、実務に役立てられるようにしました。あえてチェックリストや管理帳票、グラフ、チャート、フォーマットなどを多く取り入れました。これらの資料を自社の業務形態にアレンジして売掛金回収のヒントにしていただければ幸いです。
 
◎目次
第1章 売掛金回収ができる会社は強い会社   
1 売掛金回収ができる会社はこれを実行している
・信用調査により得意先選択している
・取引条件をはっきりと明示している
・同時履行の抗弁権を活用している
・的確な予防策を講じている
・請求手続きを迅速に行なっている
・取引撤退のタイミングを良くみている
・売掛金回収の手順が社内で周知徹底されている
2 売掛金完全回収システムが機能している
・経営管理のサブシステムとして機能化している
・販売管理や財務管理と密接な関係がある
・取引全体の安全確保を目的としている
・営業部門の行過ぎを牽制する
・営業部門との密な連携を図る
・日頃からの心がけを大切にする
・営業担当者の意識改革を管理部門がリードする
・不良債権化した事例をナレジマネジメント化する
第2章 売掛金の未収がなぜ発生するのか
1 景気の動向よりも社内体制の不備が原因だ
・不適切な営業方針や営業戦略が影響している
・与信管理制度の運用の遅れが影響している
・まちがった職務設定が影響している
・売掛金管理に関する社員教育の遅れが影響している
2 得意先の変化に気付いていないのが原因だ
・得意先の危険兆候を察知する仕組みがない
・内部情報から変化に気付いていない
・外部情報の資料を活用していない
3 売掛金の未収が起きる4つの力不足から起きる
・完全回収の成功の法則はあるのか
・焦げ付きの4大原因
・「焦げ付き防止」の連動性がたいせつ
4 自社の売掛金管理を診断してみよう
第3章 売掛金回収の与信管理規程作り方 
1 与信管理規程集とは何か
2 与信管理規定集の重要な項目
・与信管理規程の構成はこうなっている
・与信管理規程は使いやすいものがいい
・社内の権限規定との連動性
3 与信管理規程の運用マニュアルも作ろう
・管理部門において運用マニュアルを作ります。
・運用マニュアルの構成はシンプルにする
第4章 調査力不足対策
1 取引前の信用調査を行なう
・新規得意先を決めるまでにはどんな調査が必要か
・取引の限度額を決めておく
・なぜ取引するのかその動機を探ります
2 新規得意先の信用調査の上手なすすめ方
・調査を始める前にこれだけは知っておく
・信用調査をすすめるにあたっての留意点
・調査の資料と種類にはどんなものがあるか
・定性調査が必要な項目と押さえておくべきポイント
・調査結果の分析・判断はこうすすめる
・定量分析は数字で判断します
3 管理部門だからこそ客観的な調査を行なう
・政策判断は経営者に任す
・登記事項は客観的な情報を提供してくれる
・調査機関に依頼するときはこうする
・業種別業態別調査のポイント
4 与信限度額の設定方法と与信管理のポイント
・自社に合った設定方法を採用すること
・与信限度額はこうして設定する
・最近良くみかける与信限度の設定方法
・与信管理はここを押さえておけば大丈夫
5 危ない会社を見分ける観察・ヒアリング調査ポイント
第5章 契約力不足対策 
1 契約意識が低く古くからの商習慣では売掛金は焦げ付く
2 取引基本契約書の結び方と契約書の作り方
・口約束も契約だが明文化すると安心
・契約は万能ではありません
・契約書の特約事項をおぼえておこう
・契約書をつくる際にはここに注意しておこう
3 売掛金回収に有利な公正証書はこうしてつくる
・すぐに強制執行できる
・スピーディに代金回収を図れる
・委任状があれば代理でもできる
・公正証書は公証人のいる公証役場へ頼みに行って作成してもらいます
4 取引条件が変化したときには公正証書にする
・買い手が、もう少し支払いを待ってくれといったら
・支払猶予の契約を結ぶ
・遅延損害金についても記載する
・代金支払約定書を取っておく
5 代金回収に有利な個別契約をつくる
・取引基本契約書がないときはこうする
・注文書はトラブル防止の資料
・注文請書の裏を活用する
第6章 処置力不足対策   
1 売掛債権の保全処置が第一だ
・黄色信号がでたら請求、催促、商品引き揚げなどの検討を始める
・残高確認と納入方法を見直すこと
・まず文書で催促する
・商品引き揚げを検討します
・「相殺」の手段を有効に活用する
・相殺の手続きのしかたはこうする
・相殺通知の書き方はこうする
2 現金で回収できなければ「代物弁済」で回収する
・念書をもらって代物弁済させる
・不動産は登記を忘れずにしておくこと
3「代理受領」の手段をつかう
・委任状をもらう
・受領証を預かっておく
4「債権譲渡」をスムーズにすすめるにはこうする
・通知は内容証明郵便で行なう
・債権譲渡通知書の書き方
5 担保にはどんな種類があるか
・人的担保とは
・物的担保とは、
・人的担保では不安がある
・物的担保には物の裏付けがある
・個人保証とは何か
6 商品の引き揚げはどんな手順でやればよいか
・商品引き揚げには2つの態様がある
・自己売り商品の返品が基本
・合意解除が理想
・得意先の代表者を相手とし、必ず書面にする
第7章 連携力不足対策       
1 代金の回収モレはなぜ発生するか
・社内的要因による回収モレがかなりある
・得意先に起因する回収モレもある
2 売上の計上時期のルールは正しいか
3 回収モレを出さない請求システムはどうする
・売掛金の記帳・記録はどうなっている
・営業部門との連絡モレを防止する
・請求締日を見直してみる
・取引内容に応じた請求方法にする
4 営業部門との密な連携プレーで完全回収をすすめる
・営業任せの回収では実効は上がらない
・うまく連携すること
5 得意先との連携をはかる
・定期的に得意先と残高確認を行なう
・売掛金元帳の照合は次の手順で進める
・得意先へ残高確認書を提出する
6 信用調査機関との連携と信用調査依頼はこうする
・客観的な調査資料が参考になる
・調査機関に依頼を出す際の注意事項
第8章 完全回収の1週間プログラム
1「初期対応」が完全回収の行方を左右する
2 売掛金完全回収のための1週間アクションプログラム
・支払期日(当日・1日目)にやるべきこと
・1日目の夕方にやるべきこと
・2~3日目にやるべきこと
・4~6日目にやるべきこと
・7日目にやるべきこと
 
●奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2019年10月20日