これだけは知っておきたい 医師の働き方改革 実践テキスト

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これだけは知っておきたい 医師の働き方改革 実践テキスト

全国社会保険労務士会連合会 会長 大野 実氏 推薦!!
「医師の働き方改革の課題と解決策がよくわかる必読の書である。」

渡辺 徹 編著
A5判・288頁(H210×W148 430g)並製 
◆定価:本体価格 3,000円+税
◆ISBN978-4-909090-64-5 C2047
◆2021年9月24日発売
◆有吉 一男

◎著者プロフィール
〇渡辺 徹(わたなべ とおる)
高度急性期病院(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院・名古屋第二病院)において事務部長を務めてきた。
千葉大学医学部附属病院「ちば医経塾」や外資系企業が開催するセミナー等において、医療機関の労務管理に関する講演を行うほか、愛知県看護協会、愛知県立大学大学院の非常勤講師を務めている。2021年2月に千葉大学客員准教授を拝命。
《国家資格等》
社会保険労務士(会員番号:第2323285号)、経営管理学修士(MBA)、医療経営士1級、国家資格キャリアコンサルタント
《著書》 
『病院の労務管理者のための実践テキスト』(2019年6月12日、ロギカ書房より出版)
※医療労務管理研究会ホームページ:https://iryouroumu.com/
〇阪野 洋平(ばんの ようへい)
1999年より愛知県西三河地方にある総合病院にて勤務。
これまでに人事、総務、広報、医事、安全衛生、品質管理、医師臨床研修にかかわる部門を経験。現在は、人事・労務管理を中心に業務を行っている。
《資格等》
社会保険労務士(会員番号:第2323684号)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、第一種衛生管理者
〇櫛田 浩久(くしだ ひろひさ)
1963年生まれ。
大手通信会社で約40年間、人事、労務、総務を経験し、また、同社の企業立病院では事務次長として病院経営にも携わった。
《資格等》
社会保険労務士(会員番号:第2323783号)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP)、医療経営士3級、宅地建物取引士 
〇工藤 祐介(くどう ゆうすけ)
1973年生まれ。
医療機関に勤務している。
《保有資格》
社会保険労務士(会員番号:第2324001号)、行政書士
〇相田 由紀(あいだ ゆき)
社会医療法人 財団新和会 八千代病院 理事・看護部長 
1996年より中部労災病院(看護師長)、2009年東京労災病院(看護副部長)、2012年熊本労災病院(看護副部長)、2013年長崎労災病院(看護部長)、2016年八千代病院(看護部長)と異動していく中でキャリア開発プログラムの構築など看護部の人的資源管理・労務管理・人材育成等に取り組む。2021年日本看護協会長賞を受賞。
《資格等》
助産師、看護師、認定看護管理者(CAN)、中京大学大学院ビジネスイノベーション研究科にて経営管理士(MBA)を修了、国家資格キャリアコンサルタント
〇成瀬 徳彦(なるせ あつひこ)
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 薬剤部 副部長
名古屋第一赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)において1992 年より病棟活動を中心に病院薬剤師として勤務し、院内の様々な部署との連携に従事。教育研修課長を務めたことをきっかけに薬剤関連の業務シェアに関心を深める。最近は、患者相談支援センターに従事。
《資格等》
実務実習指導薬剤師
《所属学会等》
日本腎臓病薬物療法学会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本臨床薬理学会、日本薬学会、日本医療安全学会、日本病院薬剤師会、中部腎と薬剤研究会
〇加藤 秀樹(かとう ひでき)
名古屋第一赤十字病院(現 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)検査部 前技師長
1983年入職以来37年間、特に検体部門のスペシャリストとして検査部の改革に取り組む。日本臨床衛生検査技師会、愛知県臨床検査技師会にて研究活動並びに臨床検査技師の地位向上に努めた。日本臨床検査自動化学会員、日本臨床検査医学会員、日本赤十字社臨床検査技師会地区理事。
職域では免疫血清検査係長、緊急検査係長、生化学検査係長、精度管理課長を歴任した後、2015年から技師長を務める。
《学会発表》
プロカルシトニンを用いた急性虫垂炎の重症度判定(臨床検査医学会,2013)、Diagnostic value of PROCALCITONIN for acute complicated appendicitis(International Federation of Biomedical Laboratory Science,2014)、3種類の血液ガス用シリンジによる凝血塊発生頻度の比較検討(日本医学検査学会,2015)、他多数。

◎内容
急速に進展する少子高齢化や人口減少、さらには労働人口の減少等、未曽有の社会的背景から国が推し進める働き方改革には、医療機関に勤務する医師も例外ではありません。昼夜を問わず救急患者の対応はもとより、超高齢化にともない増加する複合疾患やがん患者の治療等、命を最優先にする医療現場では過重労働につながることが少なくありません。
こうした実情を改善するために国の抜本的改革の施策として、医師の時間外労働の上限規制が、2024(令和6)年度から導入されることになりました。これに伴い、すべての医療機関は医師の労働時間短縮に向けた働き方改革を推進しなければなりません。
2020(令和2)年度の診療報酬改定においても、高い救急医療実績がある急性期病院(救急搬送患者数が年間2, 000 件以上の医療機関)には、診療報酬上の評価が新たに設けられたものの、加算の要件として「医師の働き方改革」を推進するための具体的な計画の作成や取組事項の公開が義務付けられることになりました。
2024 年度まで待ったなしの状況であり、厚生労働省では「医師の働き方改革に関する検討会」が取りまとめた報告書に基づいて、より詳細な内容を詰めるために「医師の働き方改革推進に関する検討会」をスタートさせました。さらには、働き方改革を効果的に推進することを目的に「医師等医療機関職員の働き方改革推進本部」を設置する等、万全の体制で臨んでいます。この報告書には、医師の時間外労働の上限規制と健康管理のための具体的な仕組みが示されており、2024 年度までにスピード感をもって、どのように労働時間の短縮に取り組んでいくかが、今後の大きなポイントになると思われます。
一方では、各医療機関の医師の働き方改革を支援し、進捗状況(残業時間削減に向けた取組)の評価の役割を担う『評価機能』の設置が進められています。
医療機関は、患者の命と健康を守るために24 時間、365 日休むことなく稼働しています。医師には、医師法に定める応召義務もあります。こうした厳しい労働環境下に置かれている医師は、とてもハードで複雑な勤務形態を余儀なくされておりますが、現状の医師の働き方を外部の視点から理解するのはかなり難しい一面があります。
本書においては、評価機能の役割を担う社会保険労務士の皆さんはもとより、医療機関の外から医師の働き方改革を支援する役割を担う皆さんを対象に、2040 年の医療提供体制の構築に向けた三位一体改革といわれる「地域医療構想」、「医師の働き方改革」、「医師偏在対策」の3 つの重点政策を中心に理解していただくことを狙いとしています。その上で、特に医師の働き方改革については労務管理上の課題・問題点や、その解決方法等を医療現場で様々な問題解決に取り組んだ経験と実績を活かした「病院勤務の社会保険労務士」の観点からわかりやすくご説明させていただくことに加えて、医師の働き方改革の切り札ともなるタスク・シフト/ シェアについて、医療現場のマネジメント職の視点から解説させていただきます。医師の働き方改革に取り組まれている病院長をはじめ、担当副院長、看護部長、事務部長の皆さんにも大変参考となる有益な情報も数多く盛り込んでおります。
ぜひ、本書を手に取ってご覧いただき「改革」へ導く一助になれば幸いです。

◎目次
●Chapter1 医療機関を取り巻く環境の変化
1-1 2025 年問題と2040 年問題
1-2 経営が悪化する医療機関
1-3 地域医療構想
1-4 病床機能報告制度
1-5 地域医療構想調整会議
1-6 経済財政運営と改革の基本方針2017
1-7 病床機能転換の遅れ
1-8 経済財政運営と改革の基本方針2019
1-9 病床再編の方向性
●Chapter2 診療報酬で支える医師の働き方改革
2-1 診療報酬改定と働き方改革
2-2 外来医療の機能分化の推進(「定額負担」の徴収範囲拡大)
2-3 病院勤務医負担軽減の推進(地域医療体制確保加算)
2-4 医療従事者の勤務環境改善の取組推進(総合入院体制加算等)
2-5 医師事務作業補助体制加算の評価の充実
●Chapter3 医師不足への対応
3-1 医師の偏在対策
3-2 医師需給の経緯
3-3 医師臨床研修制度の変遷
3-4 令和2 年度の臨床研修制度の見直し
3-5 新専門医制度とは
3-6 新専門医制度の採用数上限設定(シーリング)
●Chapter4 医師の働き方改革実現への仕組みづくり
4-1 時間外労働の上限規制導入
4-2 追加的健康確保措置の義務付け
4-3 「地域医療確保暫定特例水準」の対象医療機関
4-4 「集中的技能向上水準」の対象医療機関
4-5 労働時間短縮に向けた取組
4-6 医療機関をバックアップする仕組み
4-7 追加的健康確保措置の履行確保のための枠組み
4-8 今後の検討課題
●Chapter5 医師から他職種へのタスク・シフティング/タスク・シェアリング
5-1 タスク・シフト/シェアの推進
5-2 チーム医療
5-3 看護師へのタスク・シフト/シェア
5-4 薬剤師へのタスク・シフト/シェア
5-5 臨床検査技師へのタスク・シフト/シェア
●Chapter6 医師の労務管理の考え方
6-1 医師の宿日直許可基準
6-2 「医師の自己研鑽」の労働時間該当性
6-3 複数医療機関に勤務する医師の労働時間の把握と追加的健康確保措置の取扱い
●Chapter7 「医師の労務管理」の課題は何か
7-1 ケーススタディ(医師の宿日直編)
7-2 ケーススタディ(個人医師編)
7-3 ケーススタディ(医師の業務委託編)
7-4 ケーススタディ(新専門医制度を活用した医師の確保)
7-5 ケーススタディ(医師の働き方改革導入編)
7-6 ケーススタディのまとめ(時間外労働の上限規制への対応)
7-7 医師の勤務シフトを考える(参考)
【巻末資料】
〈巻末資料1〉
医師の宿日直許可基準・研鑚に係る労働時間に関する通達
〈巻末資料2〉
医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について

●奥付情報
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行日 2021年10月10日