中小企業の両利きの経営 <未来を創る10の視点>

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中小企業の両利きの経営 <未来を創る10の視点>

■未来を創る10の視点■
「既存事業の深掘り」「新規事業の探索」
中小企業だって
“両利きの経営„を実践できる。

事業承継支援コンサルティング研究会 編
A5判・288頁(H210×W148×16 420g)並製 
◆定価:本体価格 2,800円+税
◆ISBN978-4-909090-70-6 C2034
◆2022年2月21日発売
◆有吉 一男

《編者》
〇事業承継コンサルティング株式会社
事業承継コンサルティング株式会社は、中小企業診断士と公認会計士を中心とするコンサルティング会社。事業承継やM&A のコンサルティング業務だけでなく、認定経営革新等支援機関として、事業承継税制(経営承継円滑化法の贈与税の納税猶予制度)や、ものづくり補助金、事業再構築補助金、経営資源引継ぎ補助金など申請サポートの実績が多数。また、東京都中小企業診断士診断士協会認定「事業承継支援コンサルティング研究会」を運営し、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーなどの士業、銀行員・証券営業マン・生命保険セールスパーソンに対して事業承継支援スキル向上のための教育プログラムを提供している。

《監修者》
〇岸田 康雄(きしだ やすお)
一橋大学大学院修了、公認会計士、税理士、国際公認投資アナリスト、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、中小企業診断士。平成28 年経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン小委員会」委員、日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、日本公認会計士協会東京会「公認会計士たる役員支援委員会」委員、東京都中小企業診断士協会認定「事業承継支援コンサルティング研究会」代表幹事。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、金融機関に在籍し、中小企業オーナーの相続対策から上場企業のM&A まで、100 件を超える事業承継と組織再編のアドバイスを行った。

〇村上 章(むらかみ あきら)
中小企業診断士、行政書士。事業承継コンサルティング株式会社代表取締役、台東区中小企業診断士会会長。令和3 年度経済産業省中小企業庁「PMI ガイドライン委員会」委員。全国8,000 店舗のパナソニック・ショップの事業承継支援を5 年にわたり継続中。2017 年自民党の中小企業小規模事業者政策調査会にて、「パナソニック系列店の事業承継支援に向けた取り組みについて」と第して中小企業の事業承継に関する政策提言を行った。2018 年テレビ番組「たけしのテレビタックル」に事業承継支援の専門家として出演。現在、中小企業の事業承継コンサルティングを専門として活動している。

〇福田 まゆみ(ふくだ まゆみ)
中小企業診断士 2018 年登録 東京都中小企業診断士協会中央支部所属。
IT 系企業に勤務。メインフレーム関連のシステムおよびWeb システム構築の提案、設計、開発に長年従事。診断士の主な活動は、セミナー講師(大学発スタートアップ・ベンチャー創業セミナー、FC システム構築塾)、販売促進支援、IT 活用による業務改善提案・支援、事業計画策定支援、補助金申請支援(事業再構築補助金、もの補助、IT 補助金など)、補助金審査(もの補助、テレワーク関連補助金、経営継続補助金)、公的機関の認定業務支援。保有資格:健康経営エキスパートアドバイザー、VEL(VE リーダー)

《著者》
〇五藤 宏史(ごとう ひろし)
(序章・第4 章執筆)
愛知県一宮市生まれ。中小企業(毛織物業)を営む実家で育った。早稲田大学大学院・理工学研究科修了後、キヤノン(株)に入社。海外企業との協業によるプリンター開発、製品プロジェクトマネジメントに多数携わり、製品コンセプト立案・設計から量産立上げまでを手掛けた(プロジェクトマネジメント2 製品は社長賞受賞)。2015 年に中小企業診断士登録。2020 年に五藤コンサルティングオフィスを開業。経営戦略・事業計画策定、創業支援、製品開発、マーケティング等が専門。現在、コンサルティング、補助金申請支援、研修講師、執筆活動等を行っている。経営支援においては、知的資産経営のスキルを活かし宝を掘り起こせ!」をテーマに日々取り組んでいる。

〇原田 豊(はらだ ゆたか)
(第1 章執筆)
中小企業診断士/ベルフェイス株式会社常勤監査役
・東京大学法学部卒、米国ボストン大学経営大学院修了(MBA)
・事業再生マネージャー、事業承継マネージャー (一般社団法人 金融検定協会認定) 
・シニアモバイルシステムコンサルタント、モバイルシステム技術検定1 級 ( 一般社団法人 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム認定)
1985 年電気通信事業法施行による通信自由化元年に国際電信電話株式会社(KDD)に入社、2007 年KDDI 株式会社経営管理部長、2012 年株式会社ジュピターテレコム上席執行役員、2016 年ジュピターショップチャンネル株式会社代表取締役副社長 兼最高財務責任者(CFO)を経て、2021 年ベルフェイス株式会社常勤監査役に就任。現在はスタートアップ・中小企業の成長支援、IPO 支援、事業承継支援などに従事する。
通信自由化後の業界再編、インターネット黎明期からの業界変動をつぶさに経験し、情報通信、放送・メディア、TV 通販、E コマースなど幅広い業界において、主に、経営管理、財務経理、総務人事等のコーポレート業務に深い知見を有する。また、大企業間のM&Aやアライアンスに関する経営経験も豊富。

〇工藤 敦子(くどう あつこ)
(第2 章執筆)
大学卒業後16 年間、映像・イベント制作会社、都市計画研究所等に勤務した後、2003 年弁護士登録し、小島国際法律事務所(東京)に入所。英国スウォンジー大学留学(法学修士課程卒)、ロンドンおよびタイ王国バンコクの法律事務所にて研修勤務の経験あり。国際・国内企業法務全般、知的財産権法関連案件(特許、商標、不正競争防止法)、紛争解決(システム開発関連、企業不祥事、労働案件、船舶融資等)、国際・国内相続案件を手掛ける。中小企業の経営者の小さな悩み事から紛争案件に至るまで、お気軽に相談できる「社外法務部」となることを目指し、きめ細やかな対応を心掛けている。

〇小松 豊(こまつ ゆたか)
(第3 章執筆)
中小企業診断士/経営学修士(MBA)/ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、外資系IT 企業、財閥系リース会社を経た後、IT ベンチャー立上げに加わり、その後外資系生命保険会社へ転じ26 年間勤務。保険会社在職中は、中小企業から一部上場企業まで140 社、個人で400 世帯を顧客に持ち、経営者の代替わり、相続に数多く関わる。そこで、事業承継に関する支援と、同時に発生する相続にも深く関わる必要性を感じ、2021 年6 月に独立、株式会社ブレインサポートの代表取締役に就任。現在は、中小オーナー企業を中心に、事業承継・M&A 支援、相続対策、また、その豊富な営業経験から、営業・マーケティング戦略支援、営業マン教育等を行っている。「法人と個人の両方に寄り添うコンサルタント」を自身のテーマにしている。

〇小林 雅彦(こばやし まさひこ)
(第5 章執筆)
大学卒業後、大手通信会社にて長年IT を活用した消費者向けマーケティングに従事。2020 年に中小企業診断士に登録し開業。「みやびコンサルティングオフィス」代表。飲食店向けのマーケティング、新規事業開発、IT 導入、人材育成支援が専門。経営コンサルティングの他にも、補助金申請支援、研修講師、執筆活動も行う。ビジネスゲーム「ビズストーム」認定研修インストラクター。イタリアにも精通し、実用イタリア語検定3 級。中小企業の経営者に寄り添う支援スタイルが信条。

〇北谷 康生(きたたに やすき)
(第6 章執筆)
神戸大学経営学部卒業後、大手素材メーカーにて、新規事業開発、海外現地法人の立ち上げ・経営、経理、営業・マーケティング、労働組合役員、他に従事。海外現地法人では初代社長を務める。2001 年、中小企業診断士登録。新規事業開発支援および海外進出支援が専門。経営コンサルティングの他、新規事業開発講座講師、補助金申請支援、執筆活動を行う。日本経営品質賞アセッサー、一般社団法人貿易アドバイザー協会認定貿易アドバイザー。京都市出身。スキルの前に「信頼口座」の蓄積が信条。

〇香川 和孝(かがわ かずたか)
(第7 章・第10 章執筆)
経営学修士、中小企業診断士、一般社団法人金融財政事情研究会認定M&A シニアエキスパート。
慶應義塾大学卒業後、東京商工会議所に入所。経営指導員として数多くの中小企業支援に携わる。また、勤務の傍ら東洋大学大学院にて、小規模事業者の新事業展開についての研究に取り組む。中小企業経営者の高齢化と事業承継の必要性を身をもって実感し、自ら課題解決に取り組もうとM&A アドバイザリーに転じる。現在は横浜銀行系のシンクタンクである浜銀総合研究所で中小企業に対する各種計画策定コンサルティングおよびM&A 支援に従事。経営学修士、中小企業診断士、一般社団法人金融財政事情研究会認定M&A シニアエキスパート。

〇須永 達也(すなが たつや)
(第8 章執筆)
20 歳より、映像制作会社とコンサート音響会社に勤務した後、22 歳よりラディックス株式会社に入社した。ラディックス株式会社は、年商約450 億円の中堅のIT 機器商社である。従業員数50 名以下の中小企業に向けての営業力を強みとし、大手競合が参入しづらい市場の中で、迅速なサポートときめ細かいサービスを提供している。入社から10 年は営業職として勤務、11 年目からは事業企画室、人事部、総務部の部門長に就任。入社当時は80人程度の規模であったが、25 年の時を経て1,500 人を超える規模になるなど、会社の成長を表(営業部門)と、裏(間接部門)で支え、様々な職務を横断的に経験した。また、2019 年に中小企業診断士の資格を取得してからは、顧客向けにIT 機器導入にともなう税制優遇や、補助金の支援を行うなど、顧客と直接対話を通じて実態に合ったIT 戦略、立案などを行っている。社内外でのIT 戦略および実行の経験を通じたノウハウを持つ。

〇松井 智(まつい さとし)
(第9 章執筆)
榎本・松井法律事務所パートナー弁護士。法科大学院修了後、司法修習を経て2011 年弁護士登録(東京弁護士会)。2015 年より上智大学法科大学院非常勤講師。2017 年中小企業診断士登録。企業法務が中心だが、家事・刑事事件も幅広く手掛ける。飲食店の多店舗展開やフランチャイズ、事業承継を専門分野とする。「リスクをゼロにする」のではなく、「どのようにリスクと付き合っていくか」といった経営の視点も含めたアドバイスを心がけている。

◎内容
 本書は、東京都中小企業診断士協会認定「事業承継支援コンサルティング研究会」における「第2 回書籍出版プロジェクト」の成果物としてまとめられたものである。大企業を対象として実行される「両利きの経営」を中小企業において実行できないか、中小企業診断士が検討を行った。企業は、これまでの成功事業と、将来のための新規事業を併存させなければ、長期間の企業の存続はない。歴史を紐解いてみても、100 年を超える企業が少ないのは、その企業の成功事業が、未来を築くべき新規事業を潰すケースが多く、それゆえ、次の時代に適合したチャレンジャー企業にその地位を奪われてしまっているからであろう。
中小企業の場合、事業を長く存続するためには、1 人の経営者の中に2 つの座標軸が必要である。大企業に比べて経営資源の乏しい中小企業は、両利きの経営を行うことが難しいと言われる。しかし、両利きの経営を行うために経営者のリーダーシップを発揮することは、大企業より容易かもしれない。「君子は豹変できる」中小企業は、生き残る可能性が高いのである。
本書のメンバーは事業承継支援に取り組む中小企業診断士である。事業承継問題が生じる中小企業は老舗企業であるため、古い事業から新しい事業への再構築が求められる。事業承継の局面に至ると、ほとんどの老舗企業には事業再構築が求められる。そこで、事業承継支援コンサルティング研究会に所属する中小企業診断士は、事業承継を単なる法務・税務、M&A の問題と捉えず、企業経営の問題と捉える。その観点から、事業承継の早い段階から、両利きの経営に挑戦するように経営指導を行っているのである。

◎主要目次
はじめに
序章 中小企業の「両利きの経営」
Ⅰ 中小企業の「両利きの経営」
Ⅱ 未来を創る10 の視点
■第1 部 基本編 土台となる考え方
第1 章 成長戦略としての「両利きの経営」
Ⅰ 成長戦略の必要性
Ⅱ 成長戦略の要素
Ⅲ 「両利きの経営」の実践例~アマゾンの場合~
第2 章 従業員を巻き込み組織を両利きに変える
Ⅰ 従業員全員に両利きの経営の必要性を腹落ちさせる
Ⅱ 危機的状況では腹落ちさせやすいが、本業がうまくいっているときは難しい
Ⅲ 従業員とともに共通の目標に向かって邁進する
Ⅳ 従業員に経営マインドを持ってもらい、意欲的に経営に参画してもらう
Ⅴ まとめ
第3 章 中小企業の両利きをイノベーションから考える
Ⅰ 中小企業が取り入れ可能な両利きとは
Ⅱ イノベーションの型と両利きの可能性
Ⅲ どこからイノベーションを生み出すか
Ⅳ まとめ
第4 章 「見えない資産」活用で最大成果を得る
Ⅰ 「見えない資産」の把握
Ⅱ イノベーションへ向けた考え
Ⅲ 基本戦略
Ⅳ おわりに
■第2 部 4 つの視点
第5 章 新規事業を創出する5 つのステップ
Ⅰ 成功事例に共通する経営者の考え方や行動
Ⅱ 5 つのステップの重要性
Ⅲ 5 つのステップの難しさ
Ⅳ 新規事業を創出する上で気をつけるべきこと
Ⅴ まとめ
第6 章 新規事業開発によって事業再構築を行う
Ⅰ なぜ新規事業開発が必要か
Ⅱ 新規事業開発プロセス
Ⅲ 新規事業開発のための外部連携
Ⅳ 新規事業開発によって事業再構築を行う方法
Ⅴ 最後
第7 章 第二創業で先代を超える
Ⅰ 高齢化が進む中小企業経営者
Ⅱ 第二創業に取り組む前にすべきこと
Ⅲ 第二創業で両利きの経営に取り組む
Ⅳ 事業承継の留意点
第8 章 DX 戦略により競争を勝ち抜く
Ⅰ DX について
Ⅱ DX 推進のための具体的な対応
Ⅲ 両利きの経営におけるデジタル技術の活用
第3 部 外部連携・M&A
第9 章 フランチャイズ契約を活用した新規事業の立ち上げ
Ⅰ フランチャイズ契約の基礎知識
Ⅱ フランチャイズを選択すべき理由
Ⅲ どのようにフランチャイズを選ぶのか
Ⅳ 最後に
第10 章 M&A で探索を加速させる
Ⅰ 中小企業のM&A の状況
Ⅱ M&A を活用するための戦略
Ⅲ M&A は実行後がスタート
Ⅳ 成功事例から学ぶ
おわりに

◎奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2022年2月28日