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病院長の心得 夢のある組織を創るために
質と経済性を両立させ、いい時も悪い時もぶれずに信念を貫き、夢のある組織を創るためにすべきこと。
大学病院から市井の病院まで多くの病院を指導する筆者が、すばらしい病院長から学んだこと、自ら経験・取得した病院経営のノウハウを徹底解説!!
井上 貴裕 著
A5判・204頁(H210×W148×D11 250g)並製
◆定価:本体価格 3,000円+税
◆ISBN978-4-911064-14-6 2047
◆2024年11月18日発売
◆デザイン:有吉一男
【著者略歴】
井上 貴裕(いのうえ たかひろ)
千葉大学医学部附属病院副病院長・病院経営管理学研究センター長・特任教授
ちば医経塾塾長
岡山大学病院病院長補佐・経営戦略支援部長・岡山大学客員教授
三重大学医学部附属病院病院長補佐
長崎大学客員教授・長崎大学病院顧問
奈良県立医科大学招聘教授
東邦大学医学部医学科客員教授
日本大学医学部社会医学系医療管理学分野客員教授
自治医科大学客員教授
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)顧問
国立研究開発法人国立循環器病研究センター理事長特任補佐
東京医科歯科大学大学院にて医学博士及び医療政策学修士
上智大学大学院経済学研究科及び明治大学大学院経営学研究科にて経営学修士を修得
【内容】
~夢のある組織を創るために~
医療職は理想を大切にあるべき医療を提供しようとします。ただ、それは時として経済的には成り立たない非現実的なことも少なくありません。医療人が持つ理想はできるだけかなえたいものですが、現実的な意思決定を行い理想と現実のはざまをどうするか、その道に誘導することが経営者の役割なのです。
病院長などトップマネジメントを除くほとんどの職員は組織全体のことを考えて発言しているわけではありません。副病院長は自分の診療科の利益を主張し担当業務だけを、看護部長は看護部という大集団の代表で、事務長ですら組織全体のことを考えていないかもしれません。
経営者は孤独であり、時として答えのない意思決定が求められる場面もあります。すべてはトップに委ねられています。ただ、トップが本当にやるべきことはビジョンを掲げ、それを浸透させ、強固な組織文化の礎を築くべくリーダーシップを発揮することなのです。
適切なビジョンは自分たちの利益を重視するだけでなく、地域医療の未来を考え、どう支え、貢献するかの視点を大切にすることにより生み出されます。
これは、言うは易く行うは難しです。きれい事だけで済まされるほど現実は甘くはありません。いい時もあれば、そうでないときも必ずあります。逆風が吹いたときに組織は揺れます。しかし、揺れる時こそ、ぶれずに信念を貫くところに経営者の価値があります。夢のある組織を創るために、経営者が果たすべき役割は大きいのです。
本書では、私が常日頃、病院経営を実践する中で考え、感じてきたことに加え、共にたたかってきた多くの病院長から教えていただいたエッセンスをお伝えします。さらに、病院経営者として知っておいてほしい知見にもふれています。
成功の唯一の方程式はありません。経営はスキルでなく、ハートが大切で情熱を持って命を懸けて挑むべきことが何よりも大切です。ただ先人の智から学ぶべきことは多くあり、失敗を最小とし成功確率を高めることはできるはずです。それを伝えることが多くの素敵な病院長に育てていただいた自らの役割と考えました。
本書が病院経営者の経営リテラシーの向上につながるとともに、孤独を感じた時、心の拠り所となるヒントが提供できれば望外の喜びです。
【目次】
■第1章 病院経営リテラシー
1 病院経営のトレーニングはいかにして行うべきか
2 現場からの増員要望にどう向き合う? ~「理想の医療」と「現実」のバランスのとり方とは
3 赤字体質の病院を「筋肉質で稼げる組織」に変える方法
4 部門別損益計算で組織はコントロールできない
5 病院の組織文化変革には、看護部を味方にせよ
6 病院組織全体に影響する看護部長人事 ~どのように選ぶべきか
7 「医経分離」が向く病院/向かない病院
8 事務部門の経営人材を育成する際に留意すべき5つのポイント
9 新入院患者を増やしたいなら、救急医療に注力すべし
10 手強い上司である役員会を味方につけるには
11 病院長は裸の王様 ~皆が事実を伝えてくれるとは限らない
12 自院の診療報酬改定への対応に、経営者としてどう関わるか
13 予算と事業計画、浸透していますか? ~職員に理解される伝え方
14 経営に興味がない医師たちに協力を仰ぐには
15 病院経営者が欲しがる「集患できる医師」とは?
16 「患者数を増やせれば、病院経営はうまくいく」は幻想である
17 紹介患者をどのように確保するか?
18 病院の成長を占う「経営幹部人事」の行方
19 新任病院長へのエール ~「退任後を見据えられる経営者であれ」
20 経営コンサルタントの選び方と、最大限活用するための心構え
21 病院長にしか見えない景色(世界)がある
22 病院長に必要な会計知識
23 病院財務のポイント教えます
■第2章 対談
〇対談(1)有井滋樹・前神戸市立医療センター西市民病院院長(神戸市民病院機構特別顧問(西市民病院整備担当))
10年連続赤字…地方病院を復活させた院長の手腕
〇対談(2)有井滋樹
病院改革を成功させられる院長の、意外な特徴
〇対談(3)有井滋樹
泥をかぶるのは院長、手柄は職員のもの
〇対談(4)平家俊男・兵庫県立尼崎総合医療センター院長
県立病院統合直後に就任した院長が語る、「あの頃」と現在
〇対談(5)平家俊男
組織の成熟期に必要な病院長のリーダーシップとは
◎奥付情報
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行 2024年11月20日