|本の詳細
知りたい フェムテックの進歩―女性の生活の質-QOL-をアップする新技術―
Femtech=Female(女性)+Tecnology(テクノロジー)
女性の生理的・社会的・経済的負荷を軽減しQOLを高め、そして社会進出のカギととなる技術!
フェムテックの現在と未来の可能性を探る‼
林 謙治 編著
渡邊 香 編著
A5判・232頁(H210×W148×14 390g)並製
◆定価:本体価格 2,200円+税
◆ISBN978-4-909090-82-9 C0047
◆2022年10月28日発売
◆デザイン:Izumiya
【編著者】
○林 謙治
日本産前産後ケア学会・子育て支援学会 理事長
国立保健医療科学院 名誉院長
北京大学医学部 客員教授
アジア・太平洋地区公衆衛生学術連合 名誉会長
NGO 日本―ベトナムパートナーシップ 理事長
千葉大学医学部卒、同大学院修了後千葉県松戸市民病院産婦人科に勤務。
その後厚労省国立公衆衛生院母子保健学部在職時に米国エール大学医学部周
産期疫学教室研究員を勤めた。保健統計人口学部部長を経て国立保健医療科
学院院長に就任し、2014 年に退官。
在職中母子保健、健康政策の研究に従事する一方、中国、タイ、コロンビア、
ケニア等多数の国際協力プロジェクトに参加した。近年においては厚労省産前
産後サポート事業・産後ケアガイドライン委員会座長を務めた。
著書に「十代妊娠」、「産後ケアのすべて」のほか論文多数。【執筆者】
○渡邊 香
秋田大学大学院医学系研究科修士課程修了後、同博士課程修了(医学博士)。
臨床経験後に、日本赤十字秋田看護大学助教、日本助産師会事務局長、国立
国際医療研究センター 国立看護大学校講師を経て、同学准教授(現職)。
専門は、社会医学、公衆衛生学、助産学、思春期学。
国内外を問わず社会医学研究および母子保健とリプロダクティブ・ヘルスの推進
活動をしている。
【執筆者】
○林 謙治(日本産前産後ケア・子育て支援学会 理事長)
○吉村泰典(慶應義塾大学名誉 教授・福島県立医科大学 副学長)
○渡邊 香(国立国際医療研究センター 国立看護大学校)
○対馬 ルリ子(医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス 理事長)
○堤 治(山王病院 名誉病院長)
○岡本 悦司(福知山公立大学)
○セントジョン 美樹(Deloitte.)/木下 亜希子(Welltree inc.)
○日根 麻綾(株式会社 エムティーアイ)
○クレシェンコ アンナ(Flora 株式会社 代表取締役)/やまがた てるえ(NPO 法人子育て学協会 理事)
○辰巳 嵩征(国立成育医療研究センター 不妊診療科)
○重見 大介(株式会社 Kids Public)
○飯田 美穂(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学)
○柴田 綾子(淀川キリスト教病院 産婦人科)
◎内容
日本は75 歳以上の高齢者人口割合が30 %近くで、世界でもっとも高齢化が進んでいる国であり、2 位のイタリアを5 ポイントも引き離しています。そしてまもなく団塊の世代が後期高齢者世代に突入する一方、合計特殊出生率はイタリア、ドイツとならんでほぼ1.3-1.5 で先進地域では最下位の部類に入りますので、高齢化率にますます拍車がかかっています。
少子化は非婚化が背景としており、男性の生涯未婚率は28 %、女性は18 %にも達するようになりました。こうした傾向が生じた理由について社会学者がさまざまな角度から検討を加えており、要因は複合的であり複雑です。理由がなんであれ、少子高齢化の現実的問題として直ちに浮上するのは労働力不足であり、一国の経済的な基盤を揺るがすだけに国としてなんらかの対策を講じないわけにはいかない。必要な労働力を確保するには生産性の向上を目指すAI 技術への進歩に期待する向きもあるが、基本的にはやはり人的資源です。具体的には女性労働力の確保、高齢者の就業期間の延長、外国からの移民など考えられるが、なんといっても核となるのは何と言っても女性労働力の活用です。こうした発想に基づいた国家政策はいまや世界的な潮流になっています。
人間の生活様式は生活基盤となる産業によって形成されますが、時の産業形態に適合した形で時代の生活価値観が作られて来ましたし、これからもそうでしょう。20 世紀の半ばまでは二次産業の全盛期であり、その後は三次産業の時代を迎え、21 世紀現在ではIT を中心とした第四次産業への移行期とみることができます。こうした産業形態の移行スピードは過去に比べて著しく加速化されています。そのために同時代の人間にとっても世代間の生活価値意識に大きな乖離があるように思えます。世代間の乖離のみならず同世代であっても男女を問わず育ってきた環境によっても影響されます。その1 つがまさにジェンダー問題です。
本書のテーマであるフェムテックは女性の生理的、社会的、経済的負荷を軽減し、QOL を高め、そして社会進出を促進するための技術であり、いわば時代の要請に沿ったデバイスであります。とは言うものの単なるテクノロジ―に止まらず社会的含意を内包しているためにさまざまな価値観が錯綜している現代社会では、技術開発の方向に異なる考え方があることは過渡期としてむしろ当然であろう。医療に関連した技術は比較的コンセンサスが得やすいが、それでも代理出産や未婚者の凍結卵子、人工受精などについて倫理的議論があります。さらに医療の枠を飛び越えたバラエティに富んだ技術などについて法規制が必要かどうかにもすでに議論の俎上に載っております。
本書ではこうした今日的な情況のなかでの議論に資するために科学的エビデンスを提供する目的で編集されました。執筆して頂いた方々は女性(Female)問題に強い関心を持ち、かつ技術的(Technology)側面に専門性を持つサイエンティストであり、客観的記述に徹して頂きました。読者諸氏の参考となれば幸いです。
【主要目次】
はじめに
○1、フェムテック定義をめぐって(林 謙治)
○2、女性のライフサイクルにおける健康力の維持~フェムテックの意義(吉村泰典)
○3、日本におけるフェムテック製品とサービスの発展(渡邊 香)
○4、女性のウェルネスから見るフェムテックの活用(対馬 ルリ子)
○5、生殖医療の進歩と将来の展望について(堤 治)
○6、不妊治療の現状と保険適用(岡本 悦司)
○7、米国のフェムテック産業について~フェムテックの国際的動向及び日本へのインパクトについて(セントジョン 美樹/木下 亜希子)
○8、フェムテック事業の展開(日根 麻綾)
○9、思春期から更年期迄女性のココロに寄り添う(クレシェンコ アンナ/やまがた てるえ)
○10、フェムテックにより明らかになった日本人の月経周期・基礎体温についての最新の知見(辰巳 嵩征)
○11、妊娠中~産後のフェムテック・遠隔医療(重見 大介)
○12、更年期以降の健康課題×フェムテック(飯田 美穂)
○13、セクシャル・リプロダクティブヘルス&ライツとフェムテック(柴田 綾子)
◎奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2022年11月10日