医良戦略2040~2040年の医療を生き抜く13の戦略

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医良戦略2040~2040年の医療を生き抜く13の戦略

尾身 茂 新型コロナ感染症対策分科会会長 推薦!!
「日本の医療はいばらの道でも、未来は明るいと確信しました」

人口減少、経済縮小、高齢者人口が最大になる2040年問題
トップランナーが語るより良き医療とは!!
次代を担う、あなたの「未来戦略」がここにある。

千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター 編
A5判・364頁(H210×W148×18 580g)並製 
◆定価:本体価格 2,600円+税
◆ISBN978-4-909090-72-0 C1047
◆2022年4月8日発売
◆Izumiya

◎編者
千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター(吉村 健佑・佐藤 大介・成瀬 浩史)
世代医療構想センターでは、2025年以降の地域医療ニーズを見据え、大学病院、地域の医療機関、千葉県の3者が中心となって、持続可能で質の高い医療の実現に向けて以下のミッションの実現のために研究活動を行い、安定した地域の医療提供体制の確立を目指します。
1.地域医療構想の実現 2.医師偏在の解消3. 医師の働き方の改革

◎著者】
〇吉村 健佑 (千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター センター長)
〇佐藤 大介 (千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター 副センター長)
〇宮田 裕章 (慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学教室 教授)
〇志賀 隆 (国際医療福祉大学 医学部 救急医学 主任教授)
〇櫻井 陽一 (NTTコミュニケーションズ㈱ スマートヘルスケア推進室 担当課長)
〇三澤 園子 (千葉大学医学部附属病院 脳神経内科 准教授)
〇裵 英洙 (ハイズ㈱ 代表取締役)
〇小野崎 耕平 (聖路加国際大学 公衆衛生大学院 教授(医療政策管理学)/一般社団法人 サステナヘルス 代表理事)
〇津川 祐介 (カリフォルニア大学 ロサンゼルス校(UCLA)医学部(内科)・公衆衛生大学院(医療政策学)准教授)
〇國井 修 (グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)CEO(最高経営責任者)
〇谷口 俊文 (千葉大学医学部附属病院 感染制御部感染症内科 講師)
〇鈴木 康裕 (国際医療福祉大学 副学長)
〇高山 義浩 (沖縄県立中部病院 感染症内科 地域ケア科 副部長)
〇武藤 香織 (東京大学 医科学研究所 教授)
〇市川 衛 (READYFOR㈱ 基金開発・公共政策室長)

◎内容
本書の目的は、2030 年から2040 年頃までに起こり得る医療の課題を対話形式で明らかにし、その課題を解決するために必要な行動につなげる契機とすることです。
日本は人口減少と経済縮小に直面しており、この中で社会保障をどのように維持していくのかが大きな課題です。人口減少から問題を考えていくと、残念ながら今後、人口が増えることはなく、減り続けることが確定しています。日本の人口は2010 年の1億2,806 万人(推計)をピークに減少に転じました。特に重要なのは、減るのが高齢者ではなく生産年齢人口であることです。今から30 年後の2050 年には人口が1億人を割り込むと同時に、生産年齢人口は3分の2に減少します。これほど急激に人口が減少し、また税収も長期的に落ち込む中で社会保障を持続しなくてはなりません。
一方で、日本は2010 年以前の人口増加・経済成長期に、約140 万床の入院病床を全国に整備するなど、大規模なインフラ投資をしています。今後、これらは徐々に必要なくなり、縮小していかなければなりません。
経済成長が足踏みとなり、再配分する資源そのものが減っていく中で、今後の医療は、長期的・全体的に見ると無駄を排し、需要の減少の影響を最小化しながらゆるやかに「撤退」していくことを考える必要があります。
「地方分権」も進んでいます。今後、厚生労働省など国は、自ら計画立案し行動するのではなく、都道府県・医療現場を支援する役割になっていきます。国の役割は、方向性を提示して進捗を管理し、必要なデータや財源、権限を都道府県に委譲することであり、問題解決の主体は都道府県であると明確にしています。したがって、都道府県も医療現場のリアルな情報収集、迅速な課題解決、医療政策に精通した職員の育成が必須となります。
日本の医療を取り巻く未来には、以上のような課題を抱えているのです。
本書は「医学書」ではありません。「医療を良くするための試行錯誤の書」と言えますが、少し長いので略して「医良の書」と呼んでみます。13 名の登壇者たちは、単なる解説者ではなく、解決をしてきた方々です。
「トークの帝王」ともいわれるラリー・キングの「自分が話すことから、自分が学ぶことは何もない。好奇心をもって人の話を聞けば、視野を広げることができる」という趣旨の言葉がささります。学生や経験年数の少ない医療専門職にとって、「医療」を学ぶ機会は多くありません。本書は医療を志し、学ぶ初学者に特に読んで欲しいと思います。
本書では、それぞれの医療の分野でトップランナー、同時にパイオニアとして走っている選りすぐりの13 名に登壇していただきました。医療の大変さ、そして面白さを伝えたいと思い、今の活動に至る動機、行動、判断はどこから来ているのか、可能な限り深掘りを試みました。耳を傾けてください。

◎目次
はじめに(吉村健佑)
■第1章 医療をより良くするための問題提起
〇第1章-1 医療の課題に対しできることは何か(吉村健佑)
〇第1章-2 様々な方法でCOVID-19 対策に取り組む(吉村健佑/佐藤大介)
〇第1章-3 これからの医療制度改革(吉村健佑/佐藤大介)
■第2章 現状を切り拓くための戦略
〇第2章-1 医療を社会問題として捉え直し、如何に取り組むか(宮田裕章)
〇第2章-2 日本の医療技術を武器に次世代の医療を切り拓く~産学連携の経験から~(志賀 隆)
〇第2章-3 次世代の医療に「産」ができること(櫻井陽一)
■第3章 求められる人材として生き抜くための戦略
〇第3章-1 多様性と可能性(三澤園子)
〇第3章-2 医師の働き方改革から見る医療界のこれから(裵 英洙)
〇第3章-3 これからの社会・医療の展望と求められる人材像~個人のキャリア開発も含めて~(小野崎耕平)
■第4章 世界基準で行動する戦略
〇第4章-1 日本の医療を見つめ直し、勝機を探る(津川友介)
〇第4章-2 グローバルな視点から見る、求められる医師・医療の在り方(國井 修)
〇第4章-3 パンデミックでの医療現場から見える未来の医療(谷口俊文)
〇第4章-4 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえて、今後に如何に備えるか~初代医務技監の視点から~(鈴木康裕)
■第5章 多様な価値観を受け入れ力にする戦略
〇第5章-1 生活から学び、生活へと還元する地域医療をめざして(高山義浩)
〇第5章-2 患者・市民とつくる次世代の医療(武藤香織) 
〇第5章-3 コロナ時代、情報発信はどうあるべきか(市川 衛)
編集後記(成瀬浩史) 

◎奥付情報
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行 2022年4月25日