孤独を生きる 「つながり」を辿る旅

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孤独を生きる 「つながり」を辿る旅

孤独という病。
「つながり」が失われた震災後の福島で、
診療の現場に立ちつづけた医師の
孤独からの回復へ向けたメッセージ。

著 者:森田 知宏
A5判・200頁(H210×W148×D14 250g)並製 
◆定価:本体価格 2,400円+税
◆ISBN978-4-911064-46-7 0047
◆2026年10月24日発売
◆デザイン:Izumiya

【著者プロフィール】
森田 知宏(もりた ともひろ)
医師・医学博士。1987年大阪府生まれ。2012年東京大学医学部医学科卒業、2018年同大学院修了。2014年から2022年まで福島県相馬市の相馬中央病院に勤務。同院での診療を通じて、患者の社会的背景が健康に大きな影響を与えることに関心を持つ。2026年、東京都足立区に「西新井内科クリニック」を開業。現在は内科医として外来・訪問診療に携わり、地域で暮らす人々の健康を支える医療に取り組んでいる。

【内容】
寂しい、誰にも頼れない、話し相手がいない。そのような感覚を、皆さんはどのくらいの頻度で抱くでしょうか。あるいは、皆さんの親御さんや、身近な高齢の方はどうでしょうか。
私たちはこうした「孤独」を、つい一時的な気分として片づけがちです。しかし実際には、孤独は心身の健康を蝕む大きな問題です。
私がその影響の大きさを意識するようになったのは、2011年3月11日の東日本大震災でした。
地震、津波、そして福島第一原発事故。未曾有の災害から5か月後の8月、私は初めて福島県に入りました。
当時も今も、多くの人の関心は原発事故や放射線の問題に向かっています。私自身も、住民の方の内部被ばく検査を手伝うなど、医師としてその現場に関わってきました。しかし、現地で診療を続けるなかで次第にはっきりしてきたのは、それとは別次元の健康問題でした。
災害による健康被害は確かにある。けれど、その原因は放射線ではありません。原発事故からの避難で集落がバラバラになり、住民の方は人と人とのつながりを失いました。人が家を失い、仕事を失い、そして何より、人と人とのつながりを失ったこと。地域の支え合いが断ち切られた結果として生じる孤立や孤独が、静かに人の健康をむしばんでいたのです。
やがて私は、これは福島だけの特殊な問題ではないと思うようになりました。震災は、もともと日本社会の中にあった脆さを、極端なかたちで見えるようにしただけではないか。家族は小さくなり、地域のつながりは弱まり、老後を支える関係は細っていく。そうした社会では、災害がなくても人は孤立して孤独に陥ってしまいます。
東日本大震災から15年が経ちました。けれども、あのとき露わになった問題は過去のものになるどころか、私たちはますます、頼れる人がいない社会に向かっているのではないでしょうか。
どうすれば人はつながりを取り戻せるのか。私はこれまで臨床医として患者さんに向き合い、産業医として悩みを抱える会社員の方々の相談に乗ってきました。その経験と、これまで世界中で積み重ねられてきた知見をもとに、この本を書きました。孤独も孤立も、簡単に解決できる問題ではありません。ですが、この本が皆さん自身やその周囲の人を見つめ直すきっかけとなり、少しでも心身の健康を保つ手がかりになればと思っています。

【目次】
はじめに
第Ⅰ部 孤独という病 ―定義・メカニズム・臨床
第1章 「孤立」と「孤独」を解剖する
第2章 命をむしばむメカニズム ―脳・遺伝子・進化
第3章 現場で出会う孤独 ―被災地・病院・職場・家庭
第Ⅱ部 孤独の構造 ―なぜ現代社会は人をひとりにするのか
第4章 家族と地域の変容 ―なぜ私たちはひとりになるのか
第5章 見えない孤立 ―同居孤独とデジタル・ディバイド
第6章 災害とパンデミック―非常時に露呈する脆さ
第Ⅲ部 世界が挑む「孤独」という難題 ―世界の孤独対策から日本の実装を考える
第7章 「つながり」を処方するイギリス
第8章 環境をデザインする北欧・欧州の挑戦
第9章 世界の知見を日本でどう活かすか
第Ⅳ部 つながりの技術 ―今日から育てる、弱いつながりの技術 
第10章 「弱いつながり」の強さ ―ガチガチの絆からゆるやかな網へ
第11 章 テクノロジーと人間関係の新しい距離感
第12章 多様性と包摂 ―「みんな仲良く」を超えて
第Ⅴ部 自分と周囲を守る実践 ―自分を守り、周囲につなぐ実践編
第13章 マインドセット ―〝孤独恐怖〟からの脱却
第14章 アクションプラン ―自分を守る生活防衛術
第15章 周囲への介入 ―孤独な親や友人のために
Ⅵ部 医師として見てきたこと、これからできること
巻末参考文献 
 
◎奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2026年10月31日