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ストーリーで学ぶ M&A企業価値の真実 <会社をいくらで買えばいいのか>
企業とは、お金を稼ぐための装置である。
言うなれば、「現金製造機」である。
如何にお金を稼ぐ力を有するか、
それこそが企業価値なのだ。
林 總・岸田 康雄 著
A5判・220頁(H210×W148×D15 420g)並製
◆定価:本体価格 2,600円+税
◆ISBN978-4-911064-30-6 C2034
◆2025年10月10日発売
【著者略歴】
林 總(はやし あつむ)
公認会計士。中央大学商学部卒業、元明治大学会計職大学院特任教授、LEC 会計大学院客員教授。外資系会計事務所、監査法人を経て開業。現在、株式会社林總アソシエイツ、公認会計士林總事務所代表。国内外の企業に対して、ビジネスコンサルティング、IT を活用した管理会計(主として原価計算)システムの設計導入コンサルティング、講演活動等をおこなっている。
主な著書に『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『わかる!管理会計』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(すみれ書房)、『経営分析の基本』『原価計算の基本』(以上、日本実業出版社)、『原価計算の教科書』(ロギカ書房)など多数。
岸田 康雄(きしだ やすお)
公認会計士、税理士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、中小企業診断士、宅地建物取引士、行政書士。一橋
大学大学院商学研究科修了(会計学及び経営学修士)。中央青山監査法人(PwC)にて事業会社、都市銀行、投資信託等の会計監査および財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ 銀行ウェルス・マネジメント営業部、みずほ証券グローバル投資銀行部門、日興コーディアル証券企業情報部、メリルリンチ日本証券プリンシパル投資部門、税理士法人に在籍し、個人の相続対策から大企業のM&A まで幅広い資産承継と事業承継をアドバイスした。現在、相続税申告を中心とする税理士業務、中小企業に対する相続・事業承継コンサルティング業務を行っている。日本公認会計士協会中小企業施策調査会「事業承継支援専門部会」委員。平成28年度経済産業省中小企業庁「事業承継ガイドライン」委員、東京都中小企業診断士協会中央支部「事業承継支援研究会」代表幹事。
著書には、「(事例研究)事業承継M&A ガイドブック」、「税理士・金融マンのためのChatGPT Plus 活用法」、「富裕層のための相続税対策と資産運用」、「中小企業の両利きの経営」、「事業承継ガイドライン完全解説」、「専門家のための事業承継入門」、「プライベート・バンキングの基本技術」、「プライベートバンカー試験受験対策問題集」、「信託&一般社団法人を活用した相続対策ガイド」、「資産タイプ別相続生前対策パーフェクトガイド」、「事業承継・相続における生命保険活用ガイド」、「税理士・会計事務所のためのM&A アドバイザリーガイド」、「証券投資信託の開示実務」などがある。
【内容】
私たちは、生きるために仕事を見つけて働き、そして金を稼ぐ。人々が選ぶ仕事は、まことに多様である。ある者は自ら事業を営み、またある者は企業に仕え、農に従事する者、漁に生きる者、さらには夜の街で身を粉にして働く者もいる。それぞれの労苦の背後には、一つの共通した目的が存在する。それはお金を稼ぐことだ。今より豊かな暮らしを手に入れるため、我々はお金を稼ぐのである。
お金を稼ぐこと――それは、一見すれば単なる手段に過ぎない。お金で愛は買えないだろう。しかし、その手段がもたらす果実は、我々にとって必要不可欠なものである。
お金を稼ぐために、人は仲間と協働し、機械を駆使していく。お金を効率的に生み出す仕組みを構築する。それが「企業」と呼ばれるものだ。企業とは、個々の力を結集し、経営資源を最適に活用しながら、利益を追求するシステムである。その本質は、単なる組織体ではなく、利益を創出するための複雑な機構であり、その中で人と技術が一体となって動く有機的な存在である。
企業とは、お金を稼ぐための装置である。言うなれば、「現金製造機」である。そしてその機械は、地球の環境を顧みつつも、なおお金を優先して産み出さねばならぬ。企業の価値は、長き時間の果てにどれほどのお金を生み出すことができるかによって決まる。いかにしてお金を稼ぐ力を有するか、それこそが企業の価値なのだ。
では、企業はどのようにしてお金を稼ぐのか。お金を稼ぐ力こそが価値である。ファイナンスの世界において、「企業の価値とは何か」を探ってみようではないか。
企業は外部からお金を調達し、それを投資に用い、営業活動を行い、そして再び外部へとお金を還す。株式会社であれば、株主や銀行からお金を得て、それを使って利益を生む。そして、また株主や銀行にお金を還す。この動きが「キャッシュ・フロー」であり、これを分析するのがファイナンスという学問である。
経営者とは、この「現金製造機」を管理する者である。企業の生産性や収益性を高め、お金をより多く、より効率的に稼ぐことがその使命となる。そして、その仕事の根底にあるのは、将来のキャッシュ・フローを予測し、羅針盤のように、正しい方向へと導くことである。
だが将来のキャッシュ・フローを正確に見積もることは容易ではない。故にファイナンスは、あくまでも指針に過ぎない。使い方を誤れば、その羅針盤は誤った方向へと我々を導くだろう。
本書は、ファイナンスの奥深さを学んでいく物語である。特に、M&A という取引手法を通じて、「お金のかたまり」としての企業をいかにして買い取るか、その具体的な実践ストーリーを描く。これは単なる会社員のための知識にとどまらず、資産運用に関心を抱く者にとっても有益な内容である。
【目次】
はじめに
◆第1 章 企業価値とは何だろうか
◎I 事業内容を理解する
1.M&A 案件の持ち込み
2.企業価値評価ガイドライン
3.開示情報の入手
◎Ⅱ 現金で価値を評価する
1.ニワトリはいくらで買うべきか
2.買収の目的はお金を儲けること
3.経営者が考える投資と回収とは
◎Ⅲ 現在価値に割り引く
1.キャッシュ・フローによる計算
2.現在価値と将来価値の違いを学ぶ
3.1年後の1万円
4.3年間のキャッシュ・フロー
5.永久に続くキャッシュ・フロー
6.予測できない期間はどうするか
◆第2 章 キャッシュ・フローを予測する
◎I 事業計画を検討する
1.売り手が作る事業計画
2.買い手が修正した事業計画
◎Ⅱ フリー・キャッシュ・フローとは何か
1.投資と営業から稼いだお金
2.事業用資産を維持するための制限
◎Ⅲ フリー・キャッシュ・フローを算出する
1.営業利益からキャッシュへの変換
2.運転資本の増減
3.固定資産の増減
4.フリー・キャッシュ・フローの算出
◆第3 章 割引率を算出する
◎I 株主に対する資本コスト
1.株主にとっての期待収益率
2.企業にとっての資本コスト
3.リスクフリー・レート
4.マーケット・リスクプレミアム
5.ベータ値
6.株主資本コスト(Re)の計算
◎Ⅱ 企業全体が負担すべき資本コスト
1.負債と株主資本の加重平均資本コスト
2.割引率としての加重平均資本コスト
◆第4 章 企業価値を評価する
◎I 割引率の設定
◎Ⅱ 予測期間のフリー・キャッシュ・フローを計算する
◎Ⅲ 残存価値を計算する
1.永久成長法
2.ニワトリが1羽20万円!?
3.マルチプル法
◎Ⅳ 株主価値を計算する
1.非事業用資産と有利子負債
2.簿外債務
3.株主価値の計算
◆第5 章 買収価格を決定する
◎I 意向表明書を提出する
◎Ⅱ M&A の取引を実行する
◆第6 章 なぜM&A が行われるのか
【奥付情報】
印刷・製本 亜細亜印刷株式会社
初版発行 2025年10月30日