|本の詳細
Q&A 配当還元方式適用場面のすべて
類書なし‼ プロフェッショナル必携‼
非上場株式の評価で、課税実務上、頻繁に生じる事項でありながら、適用要件、射程がつかめない、イメージしずらい配当還元方式の適用場面を網羅した実務書です。
A5判・452頁(H210×W148 21 650g)並製
◆定価:4,400(税込)
◆ISBN978-4-909090-59-1 C2034
◆2021年5月27日発売
◆Cover Izumiya
《著者》
伊藤 俊一(いとう しゅんいち)
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。愛知県立旭丘高校卒業後、慶應義塾大学文学部入学。身内の相続問題に直面し、一念奮起し税理士を志す。税理士試験5科目試験合格。一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻修士課程修了現在、同博士課程(専攻:租税法)在学中。慶應義塾大学「租税に関する訴訟の補佐人制度大学院特設講座」修了。都内コンサルティング会社にて某メガバンク本店案件に係る、事業再生、事業承継、資本政策、相続税等のあらゆる税分野を担当。特に、事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験しており、同業士業からの御相談件数は40,000件(令和3年4月1日現在、税理士・ 公認会計士・弁護士・司法書士等からの御相談業務)を超えており、豊富な経験と実績を有する。
・厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定(国家資格)試験委員
【執筆実績】
ロギカ書房『Q&A 所得税法・消費税法における みなし譲渡のすべて』
ロギカ書房『Q&A みなし配当のすべて』
ロギカ書房『Q&A 課税実務における有利・不利判定』
ロギカ書房『Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業 CFO」単独で完結できる中小・零細企業のためのM&A 実践活用スキーム』
ロギカ書房『Q&A 中小・零細企業のための事業承継戦略と実践的活用スキーム』
ロギカ書房『Q&A 非上場株式の評価と戦略的活用スキーム』
ロギカ書房『みなし贈与のすべて』
月刊 税経通信 2020 年9月号『特集I“ 経営不振の子会社等の支援と税務―思わぬ寄附金認定を受けないために”4子会社への出向・転籍による支援策』
月刊 税理 2020 年6月号『特集:いま求められるタックスプランニング』「タックスプランニングの傾向と求められる税理士の指導」「法人税を中心としたタックスプランニング」
月刊 税理 2020 年5月号『特集:中小企業目線のM&A 対応とその周辺実務』「組織再編行為に絡む税務の留意点」
税務弘報 平成30 年4月号「事業承継税制 平成30 年度改正の使い勝手のホントのトコロ」
税経通信 平成28 年10月号「「種類株式」と「民事信託の活用」自社株承継スキームへの当てはめに係る留意点」
日本経済新聞朝刊 平成25 年12月25日21面「マネー&インベストメント」にインタビュー記事が掲載、他多数
東京税理士会等セミナー件数は年間約180 本を超える。
《内容》
本書は配当還元方式の射程について「のみ」詳細解説した、類書に全く見られない実務書です。Q&Aごとに単独でピンポイントで参照できるよう構成を工夫しています。この性格から、通しで読むと説明が重複します。イメージをつかんでもらうために意図的にそうしております。
本書の特色は相続税法、所得税法、法人税法上の配当還元方式に係る課税実務で中小・零細企業で登場するケースを網羅したことです。筆者の従来の書籍と同様、中小・零細企業実務を前提とした「留意点・盲点の総おさらいや、レアケースについての記述」に重点を置いています。
中小・零細企業実務においては、本書の内容では完結しない場合が非常に多く存在します。代表的な関連論点として「みなし贈与」「みなし配当」「みなし譲渡(所得税法)」「税務上の適正株価」が挙げられます。どれも誌面の都合で掲載できておりませんので下記拙著を別にご参照ください。
・税務上適正株価については、『Q&A 非上場株式の評価と戦略的活用スキーム』(ロギカ書房 2019 年)
・みなし贈与については、『みなし贈与のすべて』(ロギカ書房 2018 年)
・みなし配当については、『Q&A みなし配当のすべて』(ロギカ書房 2020 年)
・みなし譲渡(所得税法)については、『Q&A みなし譲渡のすべて(所得税法編・消費税法編)』(ロギカ書房 2021 年)※所得税法編が参考になります。
弊所伊藤俊一税理士事務所は、主に中小企業・零細企業の事業承継、資本戦略、組織再編成、M&A、相続対策等々に係るご質問に特化した「コンサル質問会」(主催:株式会社KACHIEL(カチエル))及び通常の課税実務に係る質問会「税務質問会」(事務局:株式会社バレーフィールド)のご回答、及び複数社の会計事務所、税理士法人様の上記に係る顧問業務を取り扱っています。本書のQ&A は上記の「実際に税理士等士業様」からご質問・ご相談を受けた事項を分類し直し、回答を「中小・零細企業実務に直結」という視点で再編集したものです。本書は、上記理由から極めて実践的な書籍になっています。
《目次》
Q1 配当還元方式の基本的考え方
Q2 制度趣旨
Q3 配当還元方式による相続対策
Q4 株式評価額引き下げ事案に対する評価通達6 項適用の場合の判断プロセス
Q5 同族株主の判定(当局見解)
Q6 同族会社が株主である場合(当局見解)
Q7 同族株主がいない会社の株主の議決権割合の判定(当局見解)
Q8 遺産が未分割である場合の議決権割合の判定(当局見解)
Q9 株式の割当てを受ける権利等が発生している場合の価額修正の要否(当局見解)
Q10 配当優先の無議決権株式の評価(当局見解)
Q11 特定株式等の評価 配当還元方式(当局見解)
Q12 特定非常災害の発生後に取得した取引相場のない株式等(当局見解)
Q13 特定地域内に保有する資産の割合が高い法人
Q14 社債類似株式の評価
Q15 「同族株主のいない会社」へ株式異動する際の実践的留意点
Q16 非上場株式の買戻し
Q17 税務上の適正評価額の強制力
Q18 個人の属性によって変わる適正評価額
Q19 客観的交換価値とは?
Q20 所得税基本通達59-6 改正
Q21 令和2 年3 月24 日判決(当局見解)
Q22 同族会社の株式を別法人に譲渡した際の株式の時価は、売買実例価額によるべきとされた事例
Q23 所基通59-6 の調査対応
Q24 所得税法における時価(=価額)の考え方
Q25 法人税法における時価(=価額)の考え方
Q26 相続税法における時価(=価額)の考え方
Q27 財産評価基本通達における評価の考え方
Q28 総則6 項:財産評価基本通達における考え方
Q29 個人が法人に対して非上場株式を譲渡した場合の課税関係について(当局見解)
Q30 トリプル課税
Q31 配当還元方式で評価する従業員が、自社株を額面で発行法人に譲渡した場合(当局見解)
Q32 従業員持株会への譲渡とみなし譲渡
Q33 株式の名義書換がされていなかったことをもってその議決権を有しないものと取り扱うのは相当でないとされた事例(当局見解)
Q34 相続開始時に名義書換に関する訴訟が係属中の取引相場のない株式の評価について、審査請求人は従前に譲渡された株式の議決権を有するから、配当還元方式により評価することはできないとされた事例
Q35 同族関係者の範囲と特別の事情
Q36 「 同族関係者」の定義に関して法人税法施行令 4 条を引用しているが、同条6 項は、同条3 項に定める特殊の関係のある法人についてのその該当性の判断等に関して設けられた規定であるから、株主の議決権割合の判定そのものには適用されない(当局見解)
Q37 譲渡人の譲渡直前の議決権割合は15 %以上と認められ、同族株主以外の株主等に該当するとされた事例
Q38 納税者は同族株主及び中心的な同族株主に該当し、配当還元方式は適用できないとされた事例
Q39 議決権総数の25 %以上の中心的な同族株主はいない会社であることから、配当還元方式を採用することはできないとされ、また、従業員持株の買取価額は時価とは認められないとされた事例
Q40 配当還元方式を利用した相続税の負担軽減
Q41 納税者らが取得した出資持分は配当還元方式ではなく原則的評価方式で評価すべきであり、資産の低額譲受けに係る受贈益は法人税法22 条2 項の収益に該当するとされた事例
Q42 Q41 の裁判例に係る当局の見解
Q43 出資持分の1 口当たりの対価の額は適正な価額ではないとされた事例
Q44 行為計算否認と関連会社の従業員持株会に対する額面価額での株式譲渡
Q45 形式的には同族株主に該当しない者が取得した株式の評価方法について、実質的に支配関係が認められることから、評価基本通達188-2《同族株主以外の株主が取得した株式の評価》によることは適当ではないとされた事例
Q46 Q45 の裁判例に係る当局の見解
Q47 姻族の終了と取引相場のない株式の評価
Q48 他の株主又は発行会社に対する株式の無償又は低額譲渡
Q49 当初の遺産分割協議における本件株式の評価に配当還元方式の適用があるとの錯誤と更正の請求
Q50 配当還元方式を適用できないことが判明したことから、配当還元方式の適用を前提として行われた当初の遺産分割協議は錯誤無効であるとして新たな遺産分割協議に係る事例
Q51 更正の請求期間内における遺産の再分割に基づく更正の請求の可否 263
Q52 Q51 の裁判例に係る当局の見解
Q53 自己株式取得時の税務上の問題点
Q54 株式保有特定会社の株式関係(当局見解)
Q55 相続税・贈与税の申告審理に当たり特に留意する事項(当局見解)
Q56 財産評価審理上の留意点(当局見解)
Q57 配当還元方式と時価純資産方式との併用
Q58 純資産価額方式と収益還元方式との併用
Q59 配当還元方式は、株式そのものの客観的交換価値というよりは、当該株主がその経済的実質において単に配当を期待できるのみである場合に限って、その合理性が認められるもの
Q60 支配力の事実認定
Q61 個人株主として筆頭株主になった譲受人に対する配当還元方式を多少上回る評価額による譲渡が、みなし贈与に当たらないされた事例
Q62 総則6 項適用
Q63 医療法人の出資の評価(当局見解)
Q64 自己株式を有している場合の株式評価上の留意点(当局見解)
Q65 株主の中に公益法人がいる場合の同族株主の判定(当局見解)
Q66 中小企業投資育成株式会社が株主である場合の同族株主等の判定
Q67 同族会社に対する債務免除があった場合で贈与税がかからない場合
Q68 被相続人から従業員持株会に対する本件自社株の譲渡は、相続開始前に相続税を免れるために形式的に行われたものである事例
Q69 配当還元方式で評価する従業員が、自社株を額面で発行会社に譲渡した場合(当局見解)
Q70 資産の低額譲受けと配当還元方式
Q71 取締役が退任するに際し、その所有する株式を他の株主に低額で譲渡した場合(当局見解)
Q72 同族株主のいる会社といない会社の区分(当局見解)
Q73 同族株主のいる会社の評価方式の判定(中心的な同族株主がいる場合)(当局見解)
Q74 株価の考え方 1
Q75 株価の考え方 2
Q76 法人の判定についての問題点
Q77 純資産価額評価方式の問題点
Q78 株式評価に係るその他の問題点
Q79 類似業種比準価額方式の問題点
Q80 特例的評価方式の問題点
Q81 特定の評価会社についての問題点
Q82 宗教法人が株主となっている会社に係る同族株主の判定(当局見解)
Q83 離婚した妻から買い取る非上場株式の譲受価格
Q84 第三者割当増資に関する課税関係(原則)
Q85 第三者割当増資に関する課税関係(応用) 配当還元方式適用の可否
Q86 失権株再発行による第三者割当増資と配当還元方式
Q87 同族株主以外の株主となることとされ、純資産価額による買取りが保障されていた株式について、配当還元方式ではなく、純資産価額方式を適用するのを相当とした事例
Q88 配当還元方式の歴史と制度趣旨、多くの批判
【資料1】取引相場のない株式等評価のチェックシート
【資料2】今後の取引相場のない株式の評価のあり方(税務大学校論争第96 号)
●奥付情報
印刷・製本 藤原印刷株式会社
初版発行 2021年6月10日